城氏が森保Jを辛口採点「士気上がらぬカナダ戦負けは30点。メンバー固定のツケが今頃…W杯ドイツ戦へ不透明な部分が多い」
カナダとのW杯最後の強化試合を採点するとすれば「30点」だ。
本来ならば、6日後の開幕戦に向けて、ベストのメンバーを組み、しかも勝利で終えてチームの士気を高めねばならないゲームだった。だが、同点で迎えたアディショナルタイムにディフェンスのミスからPKを与え勝ち越しを許した。結果的にチームの中から湧き出てくるエネルギーや一体感のようなものが伝わってこない最終戦となった。
暑さを避けるために11月開催となった異例のW杯。ギリギリまで欧州でのリーグ戦が行われる日程のため、何も日本だけでなく各国で主要選手に怪我人が出るなどコンディション調整が難しい大会となっている。日本は、遠藤、守田、冨安、三笘の体調に不安を抱える4人がベンチを外れて、ベストメンバーを組めず、浅野、田中、板倉の3人の故障の回復チェックと、残ったメンバーの個のコンディションを上げるために大切な最終戦を使わざるを得なかった。本番に向けて不透明な部分があまりにも多く、厳しいようだが「30点」という採点になった。
浅野、田中、板倉の3人は、プレーができる状況にあることは示した。
ただ板倉の対人プレーの精度、試合勘はまだ不足している。前半21分にコーナーキックから失点して同点に追いつかれたが、あれは、板倉のマークミス。ニアサイドに動いた選手に釣られてハッチンソンをフリーにしてしまった。
日本は攻守においてセットプレーが課題だ。セットプレーでの得点は、相手にダメージを与えることができる反面、失点すると一気に流れを失う危険性がある。身長やパワーで劣る日本は、ゾーンで守ることができないため、それぞれが責任を持ってマンツーマンでマークを徹底するしかない。ドイツもカナダと同じく高さのあるチーム。失点シーンに守備のリーダーの吉田が不在だったとはいえ最後の最後に不安要素を露呈してしまった。
浅野もまだ存分に能力を生かすコンディションにはない。また田中もプレスバックで立ち遅れるシーンが目立った。久保も自在に動いて、得意の左サイドを切り裂き、シュートは放ったが、攻守の切り替えや連係はうまくいっていなかった。クロスの精度も低かった。久保の潜在能力を考えると、まだピークの状態にはない。
森保監督は、相馬を初めて右サイドハーフでスタメン起用し、後半20分からは、代表ではトップ下が定位置の鎌田のボランチもテストした。その相馬と柴崎が最後のアピールに成功した数少ない2人だろう。
前半8分。柴崎の得意のディフェンスの裏を狙った縦への絶妙なパスに相馬が反応。半身でタイミングをはかりジャンプしながら右足でうまくコースを変え先制ゴールにつなげた。相馬の武器は前への突進力。不慣れな右サイドだったが、違和感はなく、得点の匂いを嗅ぎつけると、中に入って裏を狙い得点に成功した。カナダ守備陣に脅威を与えていたし、柴崎もうまくボールを散らしてプレーに気持ちが入っていた。
鎌田は所属クラブでは、ボランチをやっているから、攻守にそつなく動いたが、これも遠藤、守田の状況を考えて不測の事態に備えてのオプションだったのだろう。