京田と砂田電撃トレードの裏…なぜ立浪竜は次から次へと主力放出の大胆補強を仕掛けるのか…その功罪と現役ドラフトとの関連は?
中日の京田陽太遊撃手(28)と横浜DeNAの左腕、砂田毅樹投手(27)との1対1トレードが18日に成立、両球団から発表された。中日は15日に楽天の涌井秀章投手(36)と阿部寿樹内野手(32)の交換トレードを成立させたばかり。立浪和義監督(53)が決断してのトレード断行と考えられているが、なぜ指揮官は動いたのか。その功罪と、12月9日に控えている現役ドラフトとの関連性は?
京田は5月に名古屋強制送還事件を起こす
続けざまにドラゴンズの顔とも言えるビッグネームの放出が決まった。
京田は、日大から2016年のドラフト2位で中日に入団。巨人の吉川尚輝と共に即戦力のショートストップとして注目を浴びたが、ルーキーイヤーに開幕スタメンに抜擢され149安打&23盗塁で新人王を獲得。昨年まで5年連続で100安打を放ち、選手会長にも選出されていた。だが、昨年から打撃不振に陥り、立浪監督が就任した今季は、打率1割台に低迷しながらも「143試合ショートで出られる体力があるのは京田しかいない」と、我慢起用されてきた。
しかし、5月4日の横浜DeNAの試合途中に打てないだけでなく、守りでもミスをするなど、目を覆うような自信のないプレーが続いたため、立浪監督が、「戦う顔をしていない。今すぐ名古屋へ帰れ」と激怒して試合途中に2軍落ちを命じて名古屋へ強制送還させられた。6月に再昇格するも、1軍固定には至らず、結局、今季はキャリアワーストの43試合、打率.172、3本塁打、8打点の成績に終わっていた。
ショートには、夏場から2年目の19歳、土田龍空が先発抜擢を受けており、しかも、ドラフトで大学、社会人など、即戦力の内野手を4人も獲得して、世代交代を進めるチーム方針を明確に打ち出し、京田は“構想外”のトレード要員として浮上していた。
チームの打点ランキング2位の数字を残していた阿部の放出には、サプライズがあったが、京田の放出は規定路線。しかも、左の中継ぎ投手が不足しているチーム状況にあって、今季は15試合登板に留まったものの、2021年には58試合に登板して、2勝2敗、18ホールド、防御率3.24の成績を残し、同一リーグで、その実力をよく知る砂田を獲得できたのは、意義のある補強となった。
元千葉ロッテでユーチューバーとしても人気の評論家、里崎智也氏も、このトレードは「中日に分がある」と評価した。
「阿部と涌井のトレードはなんで?と疑問の浮かぶものだったが、今回は、どちらかといえば、余剰戦力である京田で補強ポイントを埋めることができたので中日にとってプラスのトレードになったのでは。中日の左の中継ぎは、岡田、笠原、橋本、上田らがまだ不安定で、福は難病の手術を受けており、足りない部分だった。砂田は、今季、中継ぎ左腕にはエスコバー、田中がいるため出番が少なかっただけで力が落ちたわけではない。必ず使われると思う。逆に横浜DeNAは、チームとして育てたい若手の森に、守備力と勝負強さのある大和、そして柴田までいるので、牧を二塁から一塁へ動かすようなことがない限り、京田の出場がヨーイドンで約束されているわけではないだろう。しかもドラフト3位で駒大の即戦力内野手である林を獲得している。京田は、心機一転、環境が変わった新たな競争の中でどうアピールしていけるかということになる」
中日のトレードに関するGOサインは、立浪監督が下していると見られている。それにしても阿部に続き、中日の顔だった京田を容赦なく放出した理由は何なのか。そこには立浪監督が尊敬している故・星野仙一氏の“星野イズム”が大きく影響していると考えられている。