混乱のカタールW杯開幕戦…チケット高騰にスタジアム周辺が大渋滞…史上初の開催国初戦黒星に地元サポーターはそっぽ?!
スタジアム全体を見わたせるメイン、バックの中央部分となるカテゴリー1だけではない。両方のゴール裏を中心とするカテゴリー2が1600QR(約6万1000円)、その他の部分となるカテゴリー3でも1100QR(約4万2000円)を要した開幕戦を、多くが最後まで観戦せずに帰宅した。
確かにカタールのサッカーからは可能性が伝わってこなかった。
前半キックオフから約2分40秒でエクアドルのエース、FWエネル・バレンシア(33、フェネルバフチェ)にゴールを許した。直接FKの処理をもたつく間に頭で押し込まれたが、ここで今大会から導入された「セミ・オートメーテッド・オフサイド・テクノロジー(SAOT)」が作動した。
トータル12個のカメラで選手の位置を、ボールに埋め込まれたセンサーでキックされた瞬間をそれぞれ正確に検知。複数の情報を人工知能(AI)が迅速に処理し、オフサイドかどうかをビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の画面へ伝達する仕組みだ。
実際、バレンシアがゴールを決めた直後からVARが介入。ほんのわずかながら、別の選手の右足がオフサイドポジションにあったとジャッジされて幻と化した。スタンドからはカタールを鼓舞する大歓声が上がったが、エクアドルは試合の流れを手放さなかった。
前半16分にPKを獲得し、これをバレンシアがゴール右隅へ確実に決めて先制。同31分には敵陣でのボール奪取からショートカウンターを発動。右サイドから放たれたクロスへファーサイドにいたバレンシアが完璧なタイミングで頭をヒットさせ、今度こそゴールネットを揺らした。
大舞台でヒーローになったバレンシアは、弾む気持ちをこんな言葉で表している。
「開幕戦で僕がゴールを決めて、チームに勝ち点3をもたらすことを夢見ていた。実際に先制したことで試合をコントロールできた。僕たちはもっと、もっと上まで行ける気がしている」
カタールは5本のシュートを放ったものの、ゴールの枠をとらえた一撃はなかった。自国開催の祭典に引かれて高額なチケットを購入したものの、前半を観戦した段階で飽きてしまったのか。自国民の多くが裕福とされるカタールだが、W杯を自国で開催し、チームと一体化しながら国をあげて代表チームを後押ししていく文化はまだ根づいていないようだ。
ただ、キックオフ前のスタンドは試合中よりも盛り上がっていた。