韓国ベント監督の猛抗議による退場処分が世界へ波紋…エースFWとテイラー主審との過去因縁が物議を呼び韓国ファン激怒…「主審が同点機会奪った」
FIFAワールドカップ・カタール大会のグループHの第2戦が28日、現地で行われ、韓国代表がガーナ代表に2-3で敗れ、崖っぷちに立たされた。アディショナルタイムに韓国はCKを得たが、アンソニー・テイラー主審(44)が蹴らせることなく、試合終了を告げたためパウロ・ベント監督(53)が猛抗議。レッドカードで退場となり、グループステージ突破がかかる12月2日のポルトガル戦の指揮を執れなくなった。同審判は3年前にプレミアリーグで“絶対エース”のソン・フンミン(30)を一発退場させた因縁のある審判で、前半にはハンド疑惑もあっただけに、ベント監督は「公平ではない」と不信感を示し、韓国国内ではファンの怒りが爆発している。
CK蹴らさず試合終了の笛にベント監督が激怒
騒然となった。2-3のスコアで1点を追う韓国は10分が示されたアディショナルタイムに入ってゴール前にどんどんボールを送り込むパワープレーを仕掛ける猛攻を見せた。手元の時計では、目安の10分を約50秒過ぎる頃、ガンバ大阪でプレーする途中出場のクォン・ギョンウォンがミドルシュートを放ったが、ガーナのディフェンスに当たってゴールラインを割り、CKを獲得した。だが、スキンヘッドのテイラー主審は、その最後のCKを蹴らせることなく試合終了を告げる笛を吹いた。
ラストプレーがあると信じていた韓国の選手は両手を広げてなぜ?のポーズ。そのままピッチ上でテイラー主審を取り囲んで猛抗議をした。
その輪に元ポルトガル代表監督で、韓国の監督在任最長を誇るベント監督も加わり、派手なジェスチャーで猛抗議をしたが、テイラー主審はレッドカードを取り出してベント監督を退場処分。ベント監督は罵声を浴びせ、一度、下がりかけたが、怒りが冷めやらず再度、抗議を続けた。第1戦にウルグアイと0-0で引き分けた韓国は、12月2日のポルトガル戦で勝ち点3を奪わねばグループステージを突破できなくなったが、その大切な第3戦のベンチにベント監督は入れなくなった。
試合後、ベント監督は、規定により公式会見への出席を許可されなかったが、韓国メディア「スポーツ朝鮮」などによると、テレビのフラッシュインタビューには応じており、「我々は良い試合をしたし、試合に勝つことができたはずだ。個人的な見解だが、これは公平な結果ではない。守備のミスもあったが、後半は同点に追いつき、終盤には、より良いプレーができた。試合の結果を変えるチャンスをたくさん作れた。結果には満足していないが、選手たちには満足している。最後まで全力を尽くした選手たちを誇りに思う」と話したという。
代わりに会見に出席したアシスタントコーチのセルジオ・コスタ氏は、さらに強烈にテイラー主審の判定に不快感を示してベント監督の抗議が正当であったことを主張した。
「最後のCKは同点ゴールを入れる最後のチャンスだったが、主審がそれを奪った。公平ではなかったと思う。ベント監督は正当な抗議をしたが、主審は過剰に反応した。彼は不適切な発言などしなかった。試合終盤にチャンスを逃した選手もガッカリしたに違いない」
実は、テイラー主審と韓国には因縁があった。イングランド出身のテイラー主審は、プレミアリーグの審判でFAカップの決勝を2度任せられた人物だが、2019年12月のプレミアリーグ、トッテナム対チェルシー戦で主審を務めた際、トッテナムのFWで、韓国の絶対エースであるソン・フンミンに物議を醸すレッドカードを与えたことがあったのだ。今大会にドイツ代表で出ている当時チェルシーのDFのアントニオ・リュディガーと激しく競り合って転倒。ソン・フンミンの左足のスパイク裏が見えたプレーを危険だと判断してVARの末にレッドカードを出した、その後、3試合の出場停止処分を下されていた。