なぜ長友はコスタリカ戦の敗戦で起きた伊藤ら若手へのバッシングの”壁”になることを宣言したのか…「すべての批判を受ける覚悟」
FIFAワールドカップ・カタール大会のグループE第2戦で、コスタリカ代表に痛恨の黒星を喫した日本代表が一夜明けた28日、ドーハ市内の練習拠点で12月1日(日本時間2日未明)のスペイン代表とのグループステージ最終戦へ向けて始動した。初戦で強豪ドイツ代表を撃破し、期待が膨らんでいたなかでの敗戦に、日本国内ではDF伊藤洋輝(23、シュツットガルト)らの若手に批判が殺到。こうした状況にベテランのDF長友佑都(36、FC東京)は「一番批判を受けるべきは僕」と発言した。その真意はどこにあるのか。
「一番批判を受けるべきなのは僕だと思っています」
ネット空間を介して心ないバッシングが若手選手たちへ浴びせられている状況を、長友も把握していた。だからこそ黙っていられなかった。コスタリカに痛恨の黒星を喫してから一夜明けた28日に行われたオンライン対応。フィールドプレーヤーで最年長の36歳が熱く訴えた。
「上手くいかなかった選手が批判されている、というのは聞いています。もちろん批判されるのは当たり前ですけど、それは若手にではなく、若手が躍動する雰囲気を作れなかった僕のようなベテラン選手に対してというか、一番批判を受けるべきなのは僕だと思っています」
グループステージ初戦でドイツを撃破。一気に膨らんだ期待の反動ともいえるバッシングのなかで最も厳しいそれを浴びているのが、後半開始とともに長友との交代で3バックの左ストッパーに入り、グループステージ2試合目にしてW杯初出場を果たした伊藤となる。
ボールを預けられても、選択肢がバックパスしかないと映ったプレーの連続がどうしても消極的と受け止められた。しかも後半17分からドリブラーの三笘薫(25、ブライトン)が左ウイングバックとして投入されても、プレーの優先順位はなかなか変わらなかった。
当然ながら日本を分析しているコスタリカも、三笘を危険な存在としてチェック。三笘がボールを持っていない状況でも、複数の選手で警戒している場面が多かった。そこへ伊藤が後方からパスを預けてもボールを失い、カウンターを食らうリスクが高まってしまう。
コスタリカが罠を仕掛けているような状況でも三笘を生かそうとしない伊藤のプレーにファン・サポーターはフラストレーションを募らせていった。加えて後半36分に均衡を破られた場面でも、伊藤の緩慢な動きが日本の最終ラインに乱れを生じさせていた。
そのまま0-1で試合を終えると、苛立ちの大半が伊藤へ向けられた。伊藤のインスタグラムには「バックパスマシン」や「もう試合に出るな」といったコメントが殺到。伊藤を戦犯扱いする批判やバッシングが吹き荒れ、ツイッターではトレンド入りする騒動に発展した。
ドイツ戦後とは一変した状況を受けて、コスタリカ戦を生配信した『ABEMA』で解説を務めた元日本代表MF本田圭佑(36)は、日本時間28日午後に自身のツイッター(@kskgroup2017)を更新。つぶやきのなかで日本全体へ次のように訴えかけた。
「伊藤洋輝さんに関して。安易な批判はやめるべき。監督が指示してない可能性もある。選手ってのはコーチング1つで1流にも2流にもなりえる」(原文ママ)