城氏が語るPK戦で敗れたクロアチア戦…「私には新時代は見えなかった。なぜ後半すぐに三笘を投入しなかったのか?」
メンバー交替と同時に、まるで別のチームに変化して、リズム、テンポを取り戻すのが、ドイツ、スペインを撃破した“森保マジック”とも言える必勝パターンだったが、この日は、その選手交代後も機能しなかった。
予想通りに三笘へのマークが厳しく、三笘はサイドではなく中央からドリブルで斬り込んでいく場面も作ったが、谷口との連携がうまくいっていなかった。
2人のパスコースを遮られると、そこで手詰まりになった。遠藤、守田らがワンクッションを作って連動して動かねば三笘は生きてこない。三笘をどう生かすかのコンセプトが不十分だったのだ。また決定力とキープ力に優れた堂安をこの日は、前半から起用したことで、彼を途中から起用した際に生まれるターボエンジンのような推進力が出てこなかった。
前半から点を取りにいくというプランだったのかもしれないが、堂安、三笘のジョーカーは、後半同時に起用するべきだったのではないか。また酒井が出場可能なのであれば4バックでスタートする選択肢もあった。
そして私はPK戦に入った時点で嫌な予感がしていた。
疲れていたクロアチアは、同点に追いついてからは、無理に点を奪いにいかず、PK戦狙いの戦術に切り替わっているように感じたのだ。前大会ではノックアウトステージに入ってから、デンマーク、ロシアとの2試合をPK戦で勝ち最終的に決勝へ進んだ。PK戦になれば、そういう修羅場をくぐりぬけてきたメンタルの力が発揮できると踏んでいたのだろう。
対する日本は、どこまでPK戦対策をしていたのか。ピッチ上の動きでしか判断できないが、森保監督は、その場で順番も含めて決めたのではないか。
1人目、南野の助走が少なかった。そして、ボールに対して蹴る方向が読めるような体の入り方をしていた。狙ったコースも甘かった。クロアチアのGKは、冷静にそこを読み切ってセーブした。三笘、そして吉田まで止められたが、心理戦であるPK戦でクロアチアのGKからの目に見えぬプレッシャーにコントロールされていたように見えた。
PK戦までに決めておかねばならない試合ではあったが、PK戦想定の練習も含めて準備不足を感じざるを得なかった。