ブラジルに大敗の韓国ベント監督の去就に関する発言でまた大会通訳の”誤訳騒動”…「まだ決めていない」→「旅(契約)は終わり。9月に決めていたこと」と訂正
FIFAワールドカップ・カタール大会の決勝トーナメント1回戦のブラジル代表対韓国代表の試合が5日、行われ、ブラジルが4-1で快勝した。試合後の公式会見で、契約が切れる韓国のパウロ・ベント監督(53)の進退に関する質問が飛んだが、その重要な答えを大会サイドが用意した通訳が誤訳。その後、韓国サイドから訂正されるという騒動があり、韓国メディアを混乱させた。韓国メディア「スポーツソウル」などが報じたもの。ベント監督の通訳の誤訳問題は、グループステージでもDFキム・ミンジェ(26)の出場可否に関する質疑で起きており、韓国メディアは「問題だ」と大会サイドの不備を指摘している。
FIFAが用意した通訳が今大会で2度目の誤訳騒動
ブラジルに1-4とショッキングな大敗をした韓国に試合後にもうひとつの騒動が待ち受けていた。ロシアW杯の後に韓国の代表監督に就任、歴代最長の任期をまっとうしてきた元ポルトガル代表監督でもあるベント監督の契約は今大会で切れるが、その去就は、韓国メディアの焦点だった。当然、公式会見でも、質問が飛び、ベント監督も答えたが、そのコメントを巡り誤訳騒動が起きたのだ。
大会サイドが用意したポルトガル語を韓国語に訳す通訳は、最初は「まだ決めていない。私は休養してから次の選択をする」と訳した。
「スポーツソウル」によると、記者会見が終了した約5分後に韓国サッカー協会の広報担当者と通訳が現れ、広報担当者が「通訳が適切に行われていなかったのでベント監督の話を修正する必要がある」と説明。
通訳はベント監督のコメントを「韓国との旅(契約)は今日で終わりだ。それは9月から考えていたことだ。今日は(韓国サッカー協会の)会長と会い、選手たちにも話をした。しばらく休んで充電。その後に進路を決めるつもりだ」と訂正したのだ。
「契約の更新を拒否したのか?」と韓国メディアが確認すると、協会の広報担当者は「はい」と答えたという。「スポーツソウル」は「ニュアンスは、最初に通訳されたコメントと著しく異なっていた」と問題視した。
実は、誤訳問題は、グループステージでも起きていた。
11月27日のガーナ戦の前日会見で、ウルグアイ戦で左ふくらはぎを痛めたキム・ミンジェが出場できるか?と質問されたベント監督の返答が、「現在、キム・ミンジェの先発出場は難しいようだ」と通訳されたのだ。
だが、ベント監督は、その後の質疑で不穏な空気を察知したようで、英語で「私の言葉の意図が間違って伝えられたようだ。ファン・ヒチャンは出場できないがキム・ミンジェはまだわからない。試合当日の状況を見て決める」と自ら訂正したのだ。
韓国サッカー協会は、この誤訳を問題視。FIFAの大会組織委員会に対して誤訳問題が再発しないように公式な抗議を行った。大会組織委員会は、「公式通訳はメディア運営において非常に重要な要素であるだけに、類似の事態が発生しないように必要な措置を講じる」と、改善を約束したが、最後の重要な場面でまた誤訳問題を起こしてしまった。
前出の「スポーツソウル」は「試合前後に行われた公式記者会見では、通訳が一貫性のない文章を通訳したり、完全に間違った情報を伝えたりするなど混乱を招くケースが多かった。サッカー知識の欠如により、ベント監督が言っている要点を見逃す状況もたくさんあった。そういう苦情が山積みになり続ける中、27日に最初の事故が発生し、ディフェンスの要であるキム・ミンジェの状態を適切に伝えることができず大混乱を引き起こした。そして、この日、再び大事故が起きた。ベント監督の退団は、大会後の代表チームにとって最も重要な課題。4年4カ月の間チームを率いてきたベント監督が再契約するかどうかは、サッカーファンの間で話題になっている。通訳が、このような重要な情報を正確に伝えることができないことは深刻な問題。しかもW杯という大舞台で2回起きた。FIFA組織委員会の問題点を指摘することは避けられない」と厳しい論調で大会組織委員会の体制を批判した。