4団体統一戦に挑む井上尚弥が“三笘の1ミリ“に刺激…「(サッカー日本代表に)続いて自分も日本中を盛り上げる」
特に印象に残ったシーンは”三笘の1ミリ”だ。
スペイン戦でゴールラインギリギリで折り返した三笘薫のパスをゴール前に走り込んできた田中碧が押し込み逆転ゴールを決めたが、この三笘のプレーは、AIを使った精密なVAR判定に委ねられ、わずか「1.88ミリ」ラインにかかっていることが確認されてゴールが認められた。
「最後の試合(クロアチア戦)では、PK戦で負けましたけれど、そこの勝負の、本当に1ミリ単位の世界で戦っているのだなというところに刺激を受けましたね」
ボクシングも1ミリ単位の攻防の世界。ステップバックやディフェンスを駆使して、1ミリ、コンマ何秒というタイミングでパンチを外し、カウンターという名の決定打を叩き込むのが、井上が追究する世界トップレベルの芸術的なボクシングである。”三笘の1ミリ”にあらためて、より精密なボクシングを極める必要性があることを再確認したのだろう。
そして井上は、こう約束した。
「これに続いて、自分も日本中を盛り上げられたらと思います」
4団体統一は、日本どころかアジアでも初の快挙。6階級制覇の“レジェンド”マニー・パッキャオ(フィリピン)でさえ達成できなかった。バンタム級でも世界初の偉業で、4つのベルトをKOですべてまとめることも初となる。また世界の歴史の中でも過去8人しか成し遂げていない。
「この試合というのはそういう意味を持つ、いろいろな記録もかかる試合になると思いますが、それはあくまでも記録であって、ここが自分のゴールではないです。この試合はバンタム級の最終章という位置付けであり、(次に)スーパーバンタム級で戦う上でのスタートになると思います。危なげなくしっかりと圧倒するパフォーマンスで勝ちたいと思います」
当然気合の入り方も違う。
「バンタム級で4年間戦い、バンタム級で戦うのが最後なのかなと思うと今まで以上に気持ちも乗ります。またスーパーバンタム級に転向していくアピールをしていかなくてはいけない試合だと思います。より一層、気合は入ります」
井上は12・13有明で歴史を作る。
世界を驚かせ、日本中を睡眠不足にした「サムライブルー」の戦いに負けない感動を与えるだろう。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)