第1回「現役ドラフト」の結果
阪神陽川が西武、楽天オコエが巨人など12人移籍「現役ドラフト」は成功だったのか…”モノ言う”評論家の里崎智也氏に見解を聞く
一方で、楽天に指名された広島の正随優弥外野手(26)、ヤクルトに指名された成田翔投手(24)、日ハムに指名された松岡は、今季1軍出場がなく、各球団によってリストアップ選手にレベル差があった。各球団一人を獲得しなければならないルールだったので、12人が移籍したが、2巡目は獲得希望選手がなく実施されなかった。
里崎氏は、この制度のメリットとデメリット、そして改善点をこう指摘した。
「現役ドラフトの答えは1年後、2年後に出るのだろうが、この制度の導入で、戦力外通告が1年伸びて再チャンスを得たという選手がいるのがメリット。デメリットはトライアウトなど現役ドラフトまでの編成への影響。ただ2巡目が実施されなかったことに象徴されるように球団が任意でリストアップすることで、本当に欲しい選手がそこにいないというケースがかなり出てくる。1巡目でさえ各球団のリストアップに温度差を感じた。この制度の狙いが“出場機会に恵まれない選手の移籍の活性化”であるのならば、球団が任意で2人を選ぶのではなく、メジャーのルール5ドラフトのように、何年以上、1軍登録日数が何日未満のような、ある条件を満たした選手は、全員が自動的にリストアップされるシステムでなければならないと思う。また育成選手もプロ入り3年以上などの条件をつけて対象にすべきでしょう」
選手会が熱望してきた制度が、やっと実現したことは野球界にとって大きな一歩であることは間違いない。ただ「現役ドラフト」を恒久的な存在にするためには、選手側、そして球団サイドも納得のいく実効的な運用制度への改善が必要になってくるだろう。
(文責・RONSPO編集部)