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4団体統一戦の前日計量で井上尚弥が1回目でまさかの30グラムオーバー。デジタル体重計を見て思わず苦笑いを浮かべた(写真・山口裕朗)
4団体統一戦の前日計量で井上尚弥が1回目でまさかの30グラムオーバー。デジタル体重計を見て思わず苦笑いを浮かべた(写真・山口裕朗)

井上尚弥がプロ初まさかの30グラム計量オーバーを「小ネタ提供」と笑い飛ばす…再燃した1ラウンドKO狙い論争への答えは?

 10日の公式会見で大橋会長が「1ラウンドから火を噴く」と予告したが、それを受けた井上は、「そういう作戦はございません」と、ユーモラスに1ラウンドKO狙いを否定していた。だが、11日に動画をアップして「と言いながらも(1ラウンドから)火を噴きます」と前言を撤回。ファンや関係者の間でいったいどっちなんだ?と物議を呼んでいた。
 2度目で計量をクリアしグローブチェックを終えた井上が囲み取材に応じた。
――1ラウンドKO論争。結局のところどっちなのですか?
 井上はふふっと笑う。
「いろいろと作戦はある。(1ラウンドから)火を噴く作戦もあるし、様子を見る作戦もある。リングに上がって、向かい合ってから直感力で攻めていく。バトラーの戦略はなんとなくわかる。彼には決められたボクシングがある。でも自分には決められたボクシングはない。いくこともできるし、見ることもできる。当日、リングで向かい合ったときに、いくか、いかないかを決めたい」
 明日のゴングをお楽しみにーというわけだ。
 井上の言うバトラーの決められたボクシングとはフットワークを使って相手の攻撃をいなしてカウンターを狙い、ジャブ、ワンツーを主体とした直線的な出入りのボクシングでポイントを稼ぐ、典型的なアウトボクシングである。テクニックを持ったバトラークラスのボクサーに防御を徹底されると崩すのは容易ではない。バトラーが裏をかいて打ち合いを挑んでくる可能性は0%と言っていいが、1ラウンドから、完全にサークリングを徹底してくるのか、それとも井上の力量を測る意味も込めて、若干の攻撃を仕掛ける時間帯を作るのか、そこはゴングが鳴るまでわからない。
 父で専属トレーナーの真吾氏が、「バトラーの出方次第。どんなスタイルで来ても対応できる準備はしてきた」というのも、そこが読みにくいためで、実行のできないことのビッグマウスを嫌う井上が、1ラウンドKO狙いを断言しない理由もそこにある。
 だが、もしほんの一瞬でも井上の正面に立って打ちに来てくれるのであれば、その一瞬で終わらせる力も可能性も井上にはある。ガードを固めてもボディはすべて防げない。拳を触れ合った瞬間に井上が強引にでも倒すと決断するかもしれない。唯一無二の直感力が歴史的リングで発揮されるだろう。
 2度目の計量を終えた後の写真撮影と、恒例のファイスオフで、井上は2度バトラーにグータッチを求めた。
「実力のある選手は自信がある。風格は出ている。油断せず、最後まで気持ち引き締めていきたい」
 日本ボクシング界の歴史的1ページは、果たしてどんな色で塗り替えられるのだろうか。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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