日本がW杯”ベスト16の壁”打破に国際親善試合でのPK戦導入へ…クロアチア戦を教訓「運に任せるで終わってしまってはいけない」
国際サッカー連盟(FIFA)が定める、次の国際Aマッチデー期間は来年3月20日からの9日間。その間にマッチメークできる2つの国際親善試合を皮切りに、反町技術委員長は「公式戦では無理だけれども、国際親善試合では許される限り」と明言。具体的には対戦候補国のサッカー協会との交渉過程で、試合結果に関わらず、試合後のPK戦実施を要望していく。
Jリーグでは産声をあげた1993シーズンから、6年間にわたってリーグ戦でPK戦が実施されている。黎明期の日本にサッカーが受け入れられるには、Vゴール方式が導入された延長戦を含めて、完全決着がつく形の方が望ましいと判断されたからだった。
役目を終えて久しいリーグ戦での延長戦やPK戦を復活させる考えは、もちろん反町技術委員長も抱いていない。天皇杯は今年もPK戦の末にJ2のヴァンフォーレ甲府が大番狂わせで頂点に立つドラマが生まれたが、ファイナルを除く決勝トーナメントがホーム&アウェイ方式で実施されるYBCルヴァンカップでは、PK戦にもつれ込むケースが決して多いとはいえない。
反町技術委員長は「いまの代表には海外組も多いので、一概には言えない」と断りを入れた上で、年代別を含めた代表戦でPK戦を導入していく意義をあらためて強調した。
「サッカーにおいて逆算しながら準備していくことの大切さはみなさんも知っているはずですし、勝負のひとつであるPK戦での勝負強さを身につけていくためにも、鉄は熱いうちに打っておいた方がいい。われわれの代表活動でもそうしたことを積極的に、地道にやっていきたい」
来年3月の国際親善試合を誰のもとで戦うのか、という問題も残されている。JFAへ向けて答申する役割を担う技術委員会のトップとして、反町技術委員長は森保監督の続投の可能性にも、オファーの有無にも、具体的な選任時期についても「コメントできない」と明言を避けた。
今後も4年あまりに及んだ森保ジャパンの活動を、技術委員会内で総括していく。集大成となったカタールW杯についても、グループステージで優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表を撃破した点を評価しながら、PK戦前に勝ち越せなかったクロアチア戦の是非も検証する。
それでも、4年後にアメリカ、カナダ、メキシコで共同開催される次回W杯へ向けて、日本サッカー界として少しずつでも前進していかなければいけない。反町技術委員長をして「いまからでもすぐにやれること、われわれにできることを考えていかなければいけない」と言わしめた、課題を克服していく可能性を求めた手段のひとつが、国際親善試合でのPK戦導入となる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)