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W杯トロフィー授与式でメッシがカタールのタミル首長から贈呈された黒いシースルーマント「ビシュト」を巡って論争が起きている(写真・ロイター/アフロ)
W杯トロフィー授与式でメッシがカタールのタミル首長から贈呈された黒いシースルーマント「ビシュト」を巡って論争が起きている(写真・ロイター/アフロ)

世界が「あれ何?」「なぜ着せた?」…W杯優勝のメッシが表彰式で羽織った“黒いシースルーマント”を巡って賛否“論争”起きる

 

 英「BBC」は2人のコメンテーターの批判的なコメントを紹介した。
 元イングランド代表のガリー・リネカー氏は「メッシのアルゼンチン代表のユニホームを隠してしまったことは残念だ」と嘆き、同じく元イングランド代表のアラン・シアラー氏も、「アルゼンチンのメッシという存在を(インファンティーノ会長が)無視するとは思ってもみなかった」と皮肉った。
 また元アルゼンチン代表のDFパブロ・サバレタ氏も「なんでこんなことになったんだ?着なければならない義務はないはずだ」と憤った。  
 英の高級紙「ガーディアン」は、「メッシがW杯(トロフィー)を掲げる前にアラブのマントを着たことに様々な反応が起きた」との見出しを取り「地元(中東、アラブ)のSNSは称賛するが、西側では批判」との小見出しを取って、この問題を報道した。
「カタールが2200億ドル(約29兆9200億円)を投資をした大会の大きな見返りの瞬間だった。アルゼンチンの主将(メッシ)がトロフィーを掲げる準備をしているときに、カタールのタミル首長によってビシュトが贈られ、メッシのアルゼンチンのシャツの一部(ナショナルバッジを含む)を覆った。このトロフィーリフトの象徴的な画像は、誰のW杯であったかを思い出させることを保証する。FIFAのインファンティーノ会長は、その衣服が着用させられることを笑顔で見守っていた」と伝え、「このシーンは、この地域のSNSでは、尊敬の証として称賛を集めたが、西側のツイッターユーザーから苦情を引き出した」として、前出のBBCのコメンテーターの声を紹介した。
 
 英「デイリーメール」も「カタールW杯主催者がメッシの10番のシャツをアラブの衣装で隠してのトロフィー授与を強要した身勝手な瞬間…『(表彰式は)主催者ではなく、選手のための瞬間だ』」との見出しを取って批判した。
 同紙は「メッシはトロフィーリフトの前にローブ(ビシュト)を着させられる厄介な瞬間に耐えた。結婚式や宗教祭などの特別な儀式の機会に伝統的に着用されるビシュトは王族、役人、聖職者によって着用されてきたため、権力の意味合いがある。一部のオブザーバーは、このビシュトが、カタール政権のPRツールとして意図されていると感じた」と、その「ビシュト」に政治的な狙いがあったと批判。
 続けてSNS上で論争となっている賛否の一部を掲載した。
 多くの賛同があった意見として「表彰式は主催者のためではなく選手たちにとっての瞬間であるべきだ」というものを紹介したが、一方で過去に1970年のメキシコ大会で優勝したブラジルのペレがメキシコ伝統のソンブレロを贈られた例があるとして「ビシュトのプレゼントは問題にならない。批評家は泣き言を言うのはやめなさい」との意見も。また「メッシをサッカーの王として認めるのに(ビシュト贈呈は)ふさわしかった」というコメントもあったという。
「ビシュト」が贈られた真相はわからないが、メッシ自身が特段気にするそぶりを見せず、悲願の歓喜の瞬間を心から味わっていた感動の姿が救いだったのかもしれない。

(文責・RONSPO編集部)

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