なぜJリーグはJ1、J2、J3の20チーム統一とルヴァン杯の完全トーナメント方式化を決めたのか…代表課題のPK戦増加の副産物
Jリーグは20日に開催した理事会で、J1からJ3までの各カテゴリーのクラブ数を、2024シーズンから「20」で統一する構造改革を決めた。同時にYBCルヴァンカップの大会方式も、J1・J2・J3の全60クラブが参加するノックアウト方式へ変更。野々村芳和チェアマン(50)は、増えると予想されるPK戦に関して「慣れるという意味では大事な部分になる」と明言。カタールW杯で日本代表が涙をのんだPK戦が、真剣勝負の舞台でより多く実施される効果を強調した。
「現状の18よりも2つ増えて20となった方が、プラスが多い」
日本代表が臨む国際親善試合でPK戦の導入を検討している日本サッカー協会(JFA)に続いて、Jリーグも主催する公式戦でPK戦を現状より多く実施する運びになった。
対象となるのはYBCルヴァンカップ。もっとも、JFAと異なるのはPK戦ありきではなく、3月に就任した野々村チェアマンが掲げる成長戦略のもとで、2024シーズンからの実施が決まったJリーグの大幅な構造改革にもたらされる副次的な効果となる点だ。
Jリーグはこの日に東京・文京区のJFAハウスで開催した理事会で、J1・J2・J3の各カテゴリーのクラブ数を、2024シーズンから「20」で統一するプランを正式に承認した。今シーズンはJ1とJ3が「18」で、J2が「22」でそれぞれ実施されていた。
特にJ1に関しては2005シーズンから、コロナ禍における特例として「20」で行われた2021シーズンを除いて「18」がキープされてきた。なぜ「20」へ増やすのか。理事会後に記者会見した野々村チェアマンは、リーグ内における議論の結果だと説明した。
「ビジネス的な観点も含めた日本サッカー界の現状として、チーム数を減らすことのメリットはまだ出てこない。一方で現状維持ではなく20クラブに増やした場合、フットボール面でのメリットが若干プラスになる。加えてJリーグの価値を上げていくビジネス面でも、現状の18拠点よりも2つ増えて20拠点となった方が、プラスが多いのではないか、と」
来シーズンからはFC大阪と奈良クラブがJFLから新規入会。J2から降格したいわてグルージャ盛岡、FC琉球を合わせたJ3のクラブ数が「20」となる状況も構造改革を後押しした。移行期間となる来シーズンはJ1の最下位だけがJ2へ降格し、J2の1位と2位、さらにJ1昇格プレーオフの勝者の3チームを昇格させて、すべてのカテゴリーを「20」で合わせる。
しかし、ここである問題が頭をもたげてくる。
20チーム制となったJ1は、リーグ戦だけで年間試合数が「4」増える。この状況でルヴァンカップを従来と同じくグループステージ、プレーオフステージ、準々決勝以降のノックアウトステージと実施していけばどうなるのか。JFAが主催する天皇杯や、前シーズンの上位クラブが臨むAFCチャンピオンズリーグ(ACL)も加わる過密日程が生じてしまう。
実際にプレーする選手たちの心身にかかる負荷を考えたときに浮上してきたのが、ルヴァンカップの大会方式の大幅な変更だった。野々村チェアマンが続ける。
「試合数が増えるのはビジネス的にはいいかもしれないが、疲労も含めた選手たちのコンディション面で懸念があるのも当然ながらわかっている。そこでルヴァンカップの大会方式変更をセットにすれば、試合数が増える、という状況にはならなくなるんですね」