鈴鹿が三浦監督のパワハラ問題に関するJFL調査を認めるもサポーターへの説明はなし…「処分があれば真摯に受け止める」
パワハラ行為に対する処分では2019年11月、湘南ベルマーレのチョウ貴裁監督(53、京都サンガF.C.監督)の公認指導者S級ライセンスが1年間の資格停止となったケースがある。このときもJFAの「暴力等根絶相談窓口」への通報が発端となって調査が始まり、報告を受けた上で、発行や更新を含めて公認指導者ライセンスを管理するJFAが処分内容を決めた。
今年3月には、東京ヴェルディ監督時代のパワハラ行為が認定された永井秀樹氏(51、ヴィッセル神戸スポーツダイレクター)にも1年間の資格停止が科された。さらにサガン鳥栖前監督の金明輝氏(41、FC町田ゼルビアヘッドコーチ)は、パワハラ行為の対象に未成年が含まれていたとして、S級からひとつ下のA級ジェネラルへの降級処分が科されている。
現役時代は清水エスパルスやヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)などでプレーした三浦氏は、2003シーズンの引退後はJ2のギラヴァンツ北九州や古巣ヴェルディ、J3のカターレ富山や鹿児島ユナイテッドなどで監督を歴任。昨年7月に鈴鹿の監督兼GMに就任した。
今シーズンは弟のFW三浦知良がJ2の横浜FCから期限付き移籍で加入。兄弟が同じチームで初めて監督と選手となって注目されたなかで、カズは約5年半ぶりの得点を含めて2ゴールをマーク。JFLの歴代最年長得点記録を55歳259日に更新した。そのカズもポルトガル2部のオリベイレンセを候補のひとつにすえて、来シーズンの新天地を探している。
ピッチの外では6月下旬に、鈴鹿を経営する株式会社アンリミテッドの代表取締役に就任した。Jリーグ百年構想クラブ資格の再取得へ向けてガバナンス体制の一新が求められていたなかで、前社長を含めた4人の役員全員が辞任。Jリーグでは認められていない監督と代表取締役の兼任を、あえて三浦氏に託した仰天人事の理由を鈴鹿側はこう説明していた。
「自治体やステークホルダー、そして選手や従業員からの信頼が非常に厚いためです」
しかし、11月下旬には三重県鈴鹿市内で進めてきた新スタジアムの建設計画が、鈴鹿市側からの申し入れを受け入れる形で中止となった。異例の事態を受けて鈴鹿は三浦代表取締役名で、自治体および市民からの信頼をえられなかった状況を謝罪している。
そして一部とはいえ、厚い信頼を寄せられていたはずの選手と従業員、つまりスタッフが過去にパワハラ行為があったと内部告発に踏み切った。年明けから本格化するJFL規律委員会による調査次第では、三浦氏をクラブの新たな顔にすえた鈴鹿側の判断の是非も問われてくる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)