頭脳派の“元W杯戦士”戸田和幸新監督はJ3相模原をどこまで強くできるのか…異例の3年契約公表の理由とは?
戸田氏は2018年に慶應義塾大学のコーチとして指導者としてのキャリアをスタート。2020年に一橋大学コーチ、2021年には同監督を歴任。今年は東京都社会人サッカーリーグ1部のSHIBUYA CITY FCでテクニカルダイレクター兼コーチを務めた。
Jクラブの監督を務めるのに必要な、最上位となる公認指導者S級ライセンスを2017年に取得。満を持して臨む監督業に関して、質疑応答では理想とする監督像も問われた。もっとも、質問が終わるやいなや、戸田氏は「いません」と即答している。
「誰にもなることはできませんので。ただ、自分がどういった人間なのかというのと、どういった強みや弱みがあるのかをずっと探りながらここまできたなかで、自分は自分でしかないと逆にすごく感じてきました。これが自分だというものが、これからもいろいろと変化しながら進んでいくと思いますけど、選手たちへ最初に伝えるのは志を高く持つことと、勇敢に、そして大胆にプレーすること。それらを自分からしっかりと表現できるように、そういった取り組みを選手たちが恐れなくできるようなサポートができる指導者になって、新しいもの作りをしていきたい」
就任会見が行われていた時点で、2023シーズンを戦う選手リストには23人が名を連ねていた。内訳を見れば2022シーズンに所属した選手はわずか6人。他チームからの移籍加入選手が8人を、関東の大学を卒業する新卒選手が9人をそれぞれ数えている。
Jリーグで前例のない大幅な入れ替えは、明確な3つの指針のもとで行われた。
まずは他チームからの期限付き移籍で選手を補強するのをやめた。補強したいポジションを的確に補える一方で、中長期的なチームの強化にはつながらないと判断したからだ。同時に26歳を超える選手も、そして上位カテゴリーの所属選手も補強リストから外した。
来シーズンへ向けた編成には、11月14日に新監督就任が発表された戸田氏も携わっている。JFLへの昇格をかけた全国地域サッカーチャンピオンズリーグや、日本プロサッカー選手会が主催するトライアウトなどにも足を運び、オンラインを含めて選手との面談にも臨んだ。
DeNAが本格参入する来シーズンのビジョンを、観ているファン・サポーターへ高揚感を与えるという狙いを込めて、相模原は「エナジーフットボール」と位置づけている。明確なビジョンのもとで集った選手たちに、就任会見終了後には今シーズンのSHIBUYA CITY FCで戸田氏の薫陶を受けたDF國廣周平(25)が新たに加入すると発表された。