• HOME
  • 記事
  • サッカー
  • 頭脳派の“元W杯戦士”戸田和幸新監督はJ3相模原をどこまで強くできるのか…異例の3年契約公表の理由とは?
J3のSC相模原の監督に就任した戸田和幸氏。契約年数の3年で今季最下位のチームをどこまで強化できるのか
J3のSC相模原の監督に就任した戸田和幸氏。契約年数の3年で今季最下位のチームをどこまで強化できるのか

頭脳派の“元W杯戦士”戸田和幸新監督はJ3相模原をどこまで強くできるのか…異例の3年契約公表の理由とは?

 現時点で所属する24人の選手で、30代は横浜FCから加入して3シーズン目を迎えるGK竹重安希彦(35)ただ一人。カタールW杯を戦った森保ジャパンでいえば、最年長だったGK川島永嗣(39、ストラスブール)のような存在を担うといっていい。
 残る23人はすべて26歳以下で、平均年齢は23.5歳となる。たとえるならば真っ白なキャンバスに描かれていく絵を、戸田新監督はカタールW杯で旋風を巻き起こし、アフリカ勢として史上初のベスト4進出を果たしたモロッコ代表の戦い方にダブらせた。
「モロッコはボールを保持するプレーも当たり前にできる一方で、フランスやクロアチアと対戦したときはボール非保持の状態からでもしっかりとゲームを作っていた。ただ、すべてはボールを相手ゴールに送り届けるために行うわけであり、その意味ではしっかりとプレーができることを前提に、意欲的かつ鋭くゴールを目指せる選手を作る。それがエネルギッシュなイメージにつながっていくと思うし、身体的にもメンタル的にもたくましく戦えるチームを目指していきたい」
 今シーズンの相模原は18クラブで構成されるJ3リーグで最下位に終わった。しかし、就任会見の席で西谷次期社長は2023シーズンの具体的な目標に言及しなかった。ビジョンとして掲げる「エナジーフットボール」を常に体現できるようになれば、おのずとJ3における順位や2021シーズンに一度だけ戦ったJ2リーグへの昇格も「後からついてくる」と力を込めた。
 その先導役を託された戸田新監督は現在、ある作業に追われている。
 目指していくサッカーのコンセプトをまとめた動画を、ボール保持、ボール非保持、ポジティブトランジション、ネガティブトランジションに分けて編集。ようやく終わったボール保持編だけで動画は110分間におよんだと苦笑する。もっとも、これらは選手には公開されない。共同作業を行うコーチングスタッフと、考えを共有するための必須アイテムとなる。
「僕の頭の中にあるものを一度しっかりさらけ出して、コーチングスタッフのみんなに伝えた上で、よりいいものを作っていく上で意見を出し合い、議論をしながらシーズンに入れればと思ったので。できればクリスマスまでには編集を終えたい、と思っているんですけど」
 編成面ではあと3人の選手と、前出した3つの指針のもとで契約する予定だ。生まれ変わる相模原の始動予定日は来月10日。そのときには45歳になっている、理論と情熱を同居させた指揮官は「期待が8割、不安が2割というところですかね」とニヤリと笑った。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

関連記事一覧