“守護神”権田修一が明かすW杯秘話…なぜ日本はドイツとスペインに勝てたのか…森保監督の“厳しさ”とピッチ上での密なコミュニケーション
対面のFWマルコ・アセンシオ(26、レアル・マドリード)を、体を張って止めた左ウイングバックの三笘薫(25、ブライトン)を合わせた4人全員が東京五輪代表。準決勝でU-24スペイン代表に屈した昨夏の借りを、W杯の舞台でしっかりと返したわけだ。
迎えたクロアチアとの決勝トーナメント1回戦。キックオフ前のウォーミングアップの最後にクロアチアが取り入れたメニューを、権田は思わず注視したという。
ペナルティーアークのライン上に並べる形で配置されたボールを、フィールドプレーヤーが順に思い切り蹴っていく。直接フリーキックを除けば、試合中にはまず訪れないシチュエーション。それをフィールドプレーヤーに蹴らせたのはなぜなのか。当時はユニークだと思った権田は、いまでは明確な意味を持ったメニューだったのではと推測している。
「置かれたボールを並べて、みんなが強く蹴る練習なんて日本ではやらないじゃないですか。もしかしたら彼らなりに、しっかり蹴ることでPKの感覚をつかんでいたのかな、と」
クロアチアが戦ったグループステージを含めて、佐藤氏は現地で解説を務めた際に各国のウォーミングアップをとりわけ注視していた。そして、権田が指摘したクロアチアのメニューはグループステージの試合前には取り入れられていなかったとすかさず断言した。
推測はこのとき確信に変わった。日本のPKを3本止めたクロアチアは、強烈で正確な弾道のPKを3本決めて勝ち進み、日本は4度目の挑戦でまたもやベスト8の壁にはね返された。しかし、この瞬間から新たな戦いが始まってると権田は前をみすえた。
「(次回W杯が開催される)3年半後は一応現役でいる予定なので。現役でいるうちは絶対にW杯を目指し続ける。個人的は3年半後にW杯に行くのではなくて、W杯で勝つための準備をする。同時に今回のメンバーが次、全員入るようでは代表のレベル自体はそんなに上がってないとなる。そこへ僕自身も入れるように。それしかないと思っています」
契約を残す清水は来シーズンをJ2で戦う。トークイベント後には「海外のいいクラブから話があれば」と3度目のヨーロッパ移籍を視野に入れながら、キャプテンを務めた責任から「エスパルスと相談というところもある」と慎重な姿勢を見せることも忘れなかった。
(文責・藤江直人/スポーツライター)