アマ13冠“ネクスト・モンスター候補”の堤駿斗が大晦日のプロ2戦目に目論む衝撃のボクシングとは?
大晦日に大田区総合体育館で開催されるWBO世界スーパーフライ級王者、井岡一翔(33、志成)の2団体統一戦のアンダーカードに登場する志成ジム所属の堤駿斗(23)、大湾硫斗(24)、伊藤沙月(31)の3選手の公開練習が25日、同ジムで行われ、それぞれが意気込みを語った。注目はアマ13冠の“ネクスト・モンスター”候補である堤のプロ2戦目。相手は前OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者のペテ・アポリナル(27、フィリピン)で8月に元K―1王者の武居由樹(26、大橋)に5回TKOで負けてタイトルを奪われている。試合内容が武居と比較されるカードだが、「KO決着。それ(5ラウンドまでに倒すのが)が理想」と、KO勝利を宣言した。
相手は元K-1王者の武居が5回TKOした前東洋太平洋王者
“ネクスト・モンスター”候補の若きボクサーが腕ぶしている。五輪出場は果たせなかったが、“アマチュアボクシング界最高傑作”と言われた堤が、井岡の2団体統一戦のアンダーカードで注目のプロ2戦目のリングに上がる。この日の公開練習では、軽快なシャドーを披露。
「前回(7月のデビュー戦)は判定までいってしまったので、今回は倒す練習をしてきた。なかなかの強敵ですが、その成果を出したい。前回とは全然違った試合内容になると思う。よりアグレッシブな試合をしたい。試合の展開的にはKO決着で終わらせたいし、挑戦的に攻め込みたい」
ごく自然な口調でKO宣言をした。
OPBF東洋太平洋フェザー級5位だったジョン・ジェミノ(フィリピン)を迎えた7月のデビュー戦では、両拳を痛めて判定決着となった。インパクトを与えられなかったことを悔やんでいた”超ホープ”が、大晦日の舞台でのプロ第2戦に「今度こそ」と、心のどこかで前のめりになるのも無理はない。
今回の対戦相手は、前OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者である。8月に堤と同じく”ネクスト・モンスター”候補の武居に3度ダウンを奪われ、5回にレフェリーストップでベルトを失った。当然、堤は、KOラウンド数、試合内容を武居と比較されることになるが、そのことを聞くと、「ふふっ」と笑い、冷静にこう語った。
「(KO)ラウンド数は意識していないが、勝ち方は意識している。中盤で倒したい。武居を上回る5ラウンドまで?それが理想ですね」
決してビッグマウスではない。
アポリナルは武居にすべてで完敗したが、パンチをまとめられて立ったままTKOを宣告された5ラウンドの結末には「ストップが早い」と不満を訴えていた。今回、堤陣営は、国内外のめぼしい選手に片っ端から声をかけたが、すべて断られ、アポリナルだけが、オファーを受けた。武居戦ではスロースタートだったが、日本のホープに2戦続けて恥をかかされるわけにはいかないと気合を入れてくるだろう。防御と攻撃をハッキリと分けてくるファイトスタイルで、がっちりと守りに入られると倒すのは厄介。一方、攻撃に転じるとフィリピンボクサーらしいラフさもある。
「元チャンプでパンチ力もある。そのパンチを外しながら、どうパンチを入れるかに重点をおいて練習をしてきた」と、堤も用心しているが、スピードとパワーが充満した得意のコンビネーションブローで、その強固なディフェンスをどう破壊するかがポイントになるだろう。
デビュー戦で、その才能の一端を披露した堤が、この5か月間でさらに進化を遂げた。