異例スタイルの引退会見を開いた元日本代表DF槙野智章が“第二章”に掲げる「槙野監督」はいつどんな形で実現するのか?
同じく今シーズン限りで引退した元日本代表MFの中村俊輔氏(44)は、来シーズンから最後の所属チームとなった横浜FCのトップチームコーチに就任。J1の舞台で指導実績を積み重ねながらA級ジェネラル、そしてS級ライセンスの取得を目指していく。
槙野はどうするのか。会見では「取得するまでは解説業など、違った角度からサッカーに携わっていきたい」と来年以降の活動に言及した。巧みな解説ぶりは、現地へ赴いたW杯カタール大会でも証明されたが、監督業の魅力を上回るものはないとあらためて強調した。
「やはり伝えるより、選手たちと一緒になって強いチームを作っていきたい。ユースや育成年代もそうだし、J2やJ3でもいろいろな人を巻き込んで、面白いチーム、見に行きたいと思われるチームを作っていきたい。地域に密着したクラブのなかで、選手だけじゃなくサポーターを巻き込むような煽りやジェスチャー、動きで局面を変えて打開する熱血的な監督になりたい」
現役生活でやり残したことを問われた槙野は、J1リーグ戦で優勝できなかった点をあげた。唯一の心残りはいま、監督を務めるサッカー人生の第二章で、自らが率いるチームを頂点に導く目標へと変わった。はやる気持ちを抑えきれないように槙野は宣言した。
「チャンスがあれば、オファーがあればどこにでも飛び込みたい」
クリスマスイブの深夜に生出演したスポーツ情報番組で電撃発表した現役引退。実は今シーズンの最終戦だった11月5日の横浜F・マリノス戦後のロッカールームで、タオルで何度も目頭を押さえ、声を震わせながら神戸のチームメイトたちに告げていた。
そして、神戸のYouTube公式チャンネルでライブ配信された引退会見を介して、ファン・サポーターへも決意と覚悟を届けた槙野は「監督としても目立ちたい、という思いもあります」とニヤリと笑いながら、槙野劇場第二章の開演ベルを高らかに鳴らした。
(文責・藤江直人/スポーツライター)