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大晦日で統一戦に挑む井岡一翔とコンビを組む”名伯楽”サラストレーナー(左)が対戦相手の「弱点を見つけた」と明かす
大晦日で統一戦に挑む井岡一翔とコンビを組む”名伯楽”サラストレーナー(左)が対戦相手の「弱点を見つけた」と明かす

「負ければ引退」覚悟で大晦日決戦に挑む井岡一翔へ”名伯楽”が授けたマル秘作戦とは…「敵の弱点見つけた。動き過ぎず止まらない」

 経験と天性の距離感、ステップがあるからこそできる業ではあるが、フランコとリングの中央で対峙する中で、披露しようとしている超絶テクと、カウンターの攻防は、2団体統一戦にふさわしい高度なレベルのボクシングになるだろう。
「井岡はジャブが武器だ。相手は、そのジャブに合わせてカウンターを狙ってくると思う」とサラス・トレーナー。フランコの手の内も読める。ジャブの差し合いと同時に、ほんの数歩、サイドに動き、角度を変えたポジションから繰り出す井岡のパンチが、WBA王者を痛めつけることになる。
 またフランコに2敗したモロニ―だが、ボデイ攻撃だけは有効だった。井岡は12ラウンドを戦うつもりでペース配分するが、カウンターのボディアッパーがフィニッシュブローにつながるかもしれない。
 プライベートでも親交があり、互いの試合観戦にも行く仲の“親友”であるサッカーの元日本代表DF槙野智章が前日に引退会見を行った。すでに連絡を受けていた井岡は、その友にこんなメッセージを送る。
「彼が出した決断をリスペクトしたい。選手生活を終える決断は難しい。プレーを見られない寂しさもあるが、彼の決めたことを応援したい。彼のパフォーマンスには刺激や力をもらった。監督をやりたい、という第二の人生で活躍する姿をみたい」
 槙野が35歳で井岡も33歳。
 井岡は、敗北がイコール引退につながるという残酷な世界で勝負している。「負ければ終わる(引退)」怖さとの戦いが、大晦日のゴングが鳴るまで続くことになる。
 どうやって、その内なる戦いに勝利するのか。
 井岡は「日々の戦いです」と言う。
「(勝利の)プランを組み、やることはわかっている。さらに、その質を上げようとするハードな日々の戦いのなかで気を抜くと質が落ちる。その日々の葛藤が自分を強くする。この過程がないと自信を持てない。自分を信じられることを日々やっている。リングに上がるとき、(その日々があるから)自信を持ってやれる」
 そして井岡には絶対に負けられない理由がある。
 妻と2人の愛息…かけがえのない家族の存在。
「父親として勝ってあげたいという気持ちがひしひしと湧き上がっている。自分の力になっている、家族のために勝ちたい」
 そこまで語った井岡に、はなはだ蛇足な質問だったが、最後にこう聞いた。
ーー今回の試合も負ければ終わる(引退)の覚悟で挑むのですか?
 井岡は、小さくうなずいた。
「そう。覚悟はあります」
 運命のゴングまで残り4日。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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