W杯でドイツ、スペインを破った森保監督の2026年大会までの続投が決定した。写真右が日本サッカー協会の田嶋会長、左が反町技術委員長
W杯でドイツ、スペインを破った森保監督の2026年大会までの続投が決定した。写真右が日本サッカー協会の田嶋会長、左が反町技術委員長

森保監督の続投は正解なのか…メリットとデメリットを検証した

  日本サッカー協会(JFA)は28日、都内で会見を開き、W杯カタール大会で日本代表をベスト16に導いた森保一監督(54)の続投を発表した。同日午前の臨時技術委員会及び理事会で承認されたもので、契約期間は2026年の北米W杯まで。日本が初出場を果たした1998年のフランス大会以降で、W杯後も続けて指揮を執る初めての代表監督になった森保氏の続投は正解なのか。メリットとデメリットを検証してみた。

 「ベスト8の新しい景色を見るために一番ふさわしい監督」

 

 メディアへの通知からわずか5時間半後に、都内のホテルで開催された日本代表監督の緊急記者会見。JFAの田嶋幸三会長(65)、反町康治技術委員長(58)とともに「日本代表監督」とだけ記されていた登壇者として、スーツにネクタイ姿の森保監督が姿を現した。
 午前中に開催された臨時技術委員会で推挙され、同じく臨時理事会において全会一致で承認された契約延長。アメリカ、カナダ、メキシコで共同開催される次回W杯までの契約更新を受諾した森保監督は、短い第一声に覚悟と決意とを同居させた。
「もう一度続けていくことができる非常に光栄な気持ちと、ミッションの達成に向けての難しさ、責任の重さを考えると身の引き締まる思いです」
 日本が出場したW杯を戦った延べ7人の監督で、大会終了後も引き続き指揮を執るのは森保氏が初めてとなる。カタール大会の決勝トーナメント1回戦で、PK戦の末にクロアチアに敗れてから3週間あまり。2018年7月の就任時から目標に掲げていたベスト8を成就できなかった森保監督との契約を延長する理由を、田嶋会長は会見での第一声に凝縮させた。
「ベスト8の新しい景色を見るために一番ふさわしい監督であること。そして、日本社会へポジティブな影響を与え、国際的に日本サッカーの地位を高めてくれたことです」
 これだけでは日本サッカー界が下した、初めての決断にもたらされるメリットは見えてこない。さかのぼること3日前。JFAが主催したトークイベントに参加した守護神の権田修一(33、清水エスパルス)が、指揮官続投で生まれるメリットを説いていた。
「僕らはクロアチアに負けたところからがスタートできる。また1からチームを作り直すことをやらなくていいのが続投する最大の利点。今大会で何が足りなかったのか、今後に何を生かしていくべきなのかをアップデートしていくことはチームとして必要だと思う」
 これまではW杯を戦い終えるたびに代表監督が退任し、新監督のもとで再出発を切ってきた。一転して現状で8年間指揮を執る状況が確定した森保監督のもとで、引き続きチーム作りが進められるメリットは同時に、デメリットと表裏一体となる。
 会見に同席した反町技術委員長は、カタール大会後に森保監督と「2時間ぐらい膝をつき合わせて話をした」と明かした上で、アップデートが必須な部分をあげた。
「まだまだ足りない点があると話させていただきました。今大会を通して見えてきたものは、若い世代から個を発掘すること。特に攻撃能力の高いセンターフォワードの発掘に一番力を入れなければいけない。攻撃に違いを作れるような選手がいたのかというとまだまだ多くない。これらは代表監督にとって、非常に大事な部分になってくると思っている」

 

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