順大の 四釜峻佑(左)と中央大の阿部陽樹(写真右)が5区にエントリーされれば箱根駅伝“山の神”の有力候補(写真:SportsPressJP/アフロ)
順大の 四釜峻佑(左)と中央大の阿部陽樹(写真右)が5区にエントリーされれば箱根駅伝“山の神”の有力候補(写真:SportsPressJP/アフロ)

今日箱根駅伝の区間エントリー発表…4代目「山の神」は降臨するのか?

 ルーキーの斎藤は「練習の一環」で出場したようで、本人は「1区か2区」での出場を希望している。一方、59秒差をつけられた山本は1年生だった前々回に5区を区間6位で走っている選手。本人は2年ぶりの山に意欲をみなぎらせている。今季は10000mで28分25秒21の自己ベストをマークしており、区間上位で走りそうだ。

 駅伝でのキャリア、指揮官たちの期待度などを考えると、前回1時間11分44秒の区間5位だった四釜峻佑(順大4年)、同1時間11分58秒の区間6位だった阿部陽樹(中大2年)。それから出雲と全日本で2位に入った國學院大の選手に注目したい。
 四釜は前回、12月上旬までは長門俊介駅伝監督が「区間賞を取れる」と計算するほどの状態だった。しかし、調子が下降して、本番も落ち着いて入ることができず、腹痛にも苦しめられたという。終盤は脚がつりそうになり、本人は「素直に悔しさしかないです」と話していた。
 今季は全日本大学駅伝8区を57分45秒(区間3位)と好走。絶好のコンディションだったとはいえ、前年よりもタイムを1分09秒も短縮している。阿部は前回、ペース配分で失敗したが、箱根5区で区間賞を獲得したこともある藤原正和駅伝監督が「うまく走れば1時間10分は可能かな」と話すほど評価が高い。ふたりとも前回の経験を生かして、タイムを大幅に短縮する可能性を秘めている。

 國學院大は中西大翔(4年)、伊地知賢造(3年)、平林清澄(2年)、山本歩夢(2年)の4本柱を軸に好選手が揃っているチーム。前田康弘監督は「優勝するには山で稼ぐしかない」と話しており、エース級の1人を5区に起用したい考えだ。主力は12月4日の甲佐10マイルに出場したが、伊地知と平林は走っていない。おそらくふたりが2区と5区の候補だろう。なかでも伊地知は5区を希望しており、今回は山で登場する可能性が高い。
 今季の伊知地は出雲6区と全日本8区で区間2位。いずれも2位争いを制して、準優勝のゴールに飛び込んでいる。平地の走力では順大・四釜よりもやや上だ(全日本8区は四釜を12秒上回った)。山への適性があれば、神に近づく存在になれるかもしれない。
 他にも前回区間11位の伊藤大志(早大2)は5区の再挑戦が濃厚。新たな選手が上ることになる東洋大と帝京大、伝統的に山が強い大東大も不気味な存在だ。
 箱根駅伝はどこにヒーローがいるのかわからない。前回もノーマークだった東海大のルーキーが5区を51分50秒で走破した。果たして「山の神」は現れるのか。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

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