4年後W杯で長友佑都”魂のブラボー”と吉田麻也のリーダーシップを継承するのは誰なのか…堂安律が「エ―スと共にリーダーにもならなくては」と立候補
吉田も長友も今後は流動的となるが、どれだけ華々しいキャリアを誇っていても、いつかは必ず代表チームに別れを告げる時期が訪れる。いなくなったときに、リーダーは誰なんだと初めて騒いでも意味をなさない。だからこそ、堂安はクロアチア戦翌日に名乗りをあげた。
何よりも精神的な支柱を担う前に、ピッチ上で演じるパフォーマンスが周囲から認められる必要がある。そのための新たな自分自身を、堂安は早くも思い描いている。
「自分がミッドフィルダーだとは思っていません。この大会であらためて思ったのは、自分の役割はゲームを作るのではなく、やはりフィニッシャーなんだと。そう考えれば、自分の新しいポジションも開拓できる。直接FKにしてもキックが一番上手い選手が蹴るべきで、自分が蹴りたいと望むシンプルな理由でもある。もちろん、直接FKの練習もしていかなきゃいけない」
コミュニケーションの鬼と自負する、特異なキャラクターの持ち主でもある長友と、まったく同じ立ち居振る舞いは求められない。それでも代表チームを愛し、勝利に導くためには何が必要なのかを常に考えていけば、プレー面とメンタル面でおのずと距離を縮められる。
だからこそ、長友も堂安をはじめとする可愛い後輩たちへエールを送る。
「それぞれが素晴らしいキャラクターを持っているので、その選手たちに合った形で代表に還元できるものを、どんどん熱量として発してほしい。僕は試合だけでなくベンチでもみんなの戦いを見ていたけど、本当にたくましく、堂々と戦う後輩たちを誇りに思えるほど感動したんですね。なので、今大会の悔しさも含めて、彼らが必ずつないでいってくれると思っています」
W杯出場がはるか彼方だった冬の時代から、日本サッカー界で紡がれてきた一本のバトン。代表に関わった先輩たちの喜怒哀楽が染み込むたびに重みを増したそれが、4度目の挑戦でもベスト16の壁にはね返されたクロアチア戦の悔しさを契機として、2010年代をけん引してきた吉田や長友たちの世代から、堂安をはじめとする東京五輪世代へと託されようとしている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)