「(開幕戦悪夢が)そりゃよぎるやろ」…開幕白星発進の岡田阪神と連敗地獄だった昨年の矢野阪神の何がどう違ったのか?
阪神が開幕戦を勝利した。15年ぶりに監督復帰した岡田彰布氏(65)が率いる阪神が31日、京セラドーム大阪で横浜DeNAを6-3で下した。8回にKケラーが2点を失い、9回にWBC帰りの湯浅京己が一死満塁の大ピンチを迎えた展開に岡田監督の脳裏を7点差を逆転された昨年の開幕戦がよぎったという。だが、湯浅が踏ん張りゲームセット。なぜ昨年との違いが生まれたのか?
「ヒヤヒヤさせてすみませんでした」
「嫌な予感がした」という。
5-1で迎えた8回のマウンドに送り出したKケラーの制球が定まらない。先頭の京田に四球を与え、佐野に初球をライト線に引っ張られて無死二、三塁にされ、代打ソトは三振に打ち取ったものの、途中出場の宮崎にセンター前へ2点タイムリーを許した。2点差となって一発が出れば同点の場面でWBCで2発を放っている4番の牧である。
昨年のヤクルトとの開幕戦は、同じくここ京セラで7点差をひっくり返され、悪夢の逆転負けを喫した。9回に山田に同点ソロ、サンタナに勝ち越し2ランを浴びたのが、Kケラーだった。当時、岡田監督は、評論家として、この悪夢を目の当たりにしていた。
「パッと見たらケラーやったから。そりゃ、よぎるやろ。俺は何にも関係ないけど、そやろ。当たり前やろ」
だが今年のケラーは踏ん張った。
昨年悲劇を招いたカーブでカウントを整えてから、牧のバットに高めの151キロのストレートで空を切らせ、続く楠本もストレートで押し込んで外野フライを打たせて、2点差で食い止め、チームは8回に貴重な追加点を奪い湯浅にバトンを渡したのである。
だが、その湯浅も開幕の重圧でおかしかった、
なんと3つの四球で一死満塁にしてしまう。一発が出れば逆転の場面。
「WBCでも開幕を考えて調整していた」という湯浅はクレバーだった。
制球に重点を置き、ストレートのスピードを10キロほど制御して佐野を空振りの三振、続く一発のあるソトもフルカウントから高めのストレートで勝負して天井に当たるかと思うほどの高々と上がったショート内野フライに打ち取り、梅野に肩を抱かれた。
「ヒヤヒヤさせてすみませんでした」
湯浅は、青柳、梅野と並んで上がったお立ち台でファンに謝罪した。
岡田監督は安堵した笑顔でコーチ陣と握手を交わした。
「3点あって。8回で1点で楽にしたと思ったんだけど。まあ、こんなもんでしょう、開幕は。抑えないといけない重圧はあると思うしね。みんなで持ってきてくれた9回。ファオボールを3つ出しても0点で抑えたことが一番大きい」
昨年の矢野阪神の開幕とは何が違ったか。
5年連続でリーグワースト失策を記録した昨年までの阪神の野球を裏返しにするような“したたかな大人の野球”があった。