全国高校サッカーで見るべき5人の逸材…海外内定ストライカーから異例の大型FW&DF“二刀流”に“ネクスト三笘”まで
新春のスポーツ界を彩る風物詩のひとつ、第101回全国高校サッカー選手権大会は、今日2日に首都圏の4会場で行われる3回戦の8試合でベスト8が出そろう。出場48校の選手たちのなかから、5人の次世代ヒーロー候補をピックアップした。
【福田師王】[鹿児島・神村学園3年/FW/178cm・70kg]
初戦で敗退した前回大会の時点で、高校ナンバーワンストライカーと呼ばれた福田師王(しおう)が最上級生になり、さらにスケールを増して選手権に帰ってきた。
大晦日に行われた山梨学院(山梨)との初戦でいきなり周囲を驚かせた。ハーフウェイライン付近で味方からのパスを受けると、素早いターンで背後についた相手を交わしてドリブルを開始。そのまま約40mを疾走し、利き足とは逆の左足でゴールを決めた。
身長178cm体重70kgと決して大柄ではない。しかし、同じ小兵FWながら日本代表でゴールを量産した岡崎慎司のプレー映像を徹底的に研究。相手ゴール前での動き出しを磨き、右足、左足、頭とすべてでゴールを狙える異能の得点能力を身につけた。
昨春と夏にはブンデスリーガ1部のボルシアMGの練習に参加。複数のJ1クラブも加わった争奪戦のなかで、今大会終了後のドイツ行きを決めた。高卒でいきなり渡欧した日本人選手で成功した例は少ない。過去のデータが福田の挑戦者魂をたぎらせる。
「自分が成功例を作っていきたいし、成功しなければいけない」
来夏のパリ五輪、3年後の次回W杯を中長期的な目標に定める。日本を発つ前に高校時代でまだ成し遂げていない夢、2006年度大会のベスト4を超える優勝を、セレッソ大阪加入が内定しているMF大迫塁ら苦楽をともにしてきた仲間たちとともに勝ち取る。
【オウイエ・ウイリアム】[千葉・日体大柏3年/FW/190cm・79kg]
最前線で躍動する姿を見ただけで潜在能力の高さがわかる。滞空時間の長いジャンプ。プレッシャーを受けながらボールを収める強さ。一挙手一投足に脈打つしなやかさ。激戦区千葉を初めて勝ち抜いた日体大柏で、オウイエ・ウイリアムは異彩を放っている。
ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、中学生年代までは地元の川崎フロンターレU-15に所属した。当時の主戦場は左サイドバック。左利きという点を見込まれていたが、怪我が続いた不運もあって同U-18への昇格はかなわなかった。
素質を高く評価してくれた日体大柏では1年生でセンターバックやサイドバック、2年生ではボランチでプレー。迎えた昨年1月。190cm目前にまで伸びた身長を最も生かせるポジションとしてFWにコンバートされると、規格外の存在として一気に頭角を現した。
日体大柏はJリーグの柏レイソルと、2015年から相互支援契約を結んでいる。指導者や選手の交流が盛んに行われるなかで、初めての選手権に臨むチームを率いる根引謙介監督、菅沼実コーチが柏の育成・普及部から派遣される形で指導にあたっている。
選手たちも柏のアカデミーの練習に参加して刺激を受ける。そのなかでオウイエはトップチームの練習にも参加。潜在能力が見初められて卒業後の加入が内定した。
先のカタールW杯でベスト16入りした日本代表に感銘したオウイエは、将来の夢を「自分もあの舞台に立って活躍したい」と思い描く。プロ入りの前に高校最後の目標が残る。初出場初優勝の偉業へ。2日の3回戦では同じく初出場の飯塚(福岡)と対戦する。