• HOME
  • 記事
  • サッカー
  • 全国高校サッカーで見るべき5人の逸材…海外内定ストライカーから異例の大型FW&DF“二刀流”に“ネクスト三笘”まで
全国高校サッカー選手権で注目の5人の逸材
全国高校サッカー選手権で注目の5人の逸材

全国高校サッカーで見るべき5人の逸材…海外内定ストライカーから異例の大型FW&DF“二刀流”に“ネクスト三笘”まで

【荒井悠汰】[埼玉・昌平3年/MF/175cm・70kg]
 大会屈指の左利きのサイドアタッカーは、同世代のライバルよりも一歩先をすでに経験している。3年生に進級する前の昨年2月の段階で、卒業後のFC東京加入が内定。昌平に所属したままFC東京の公式戦に出場できるJFA・Jリーグ特別指定選手に登録された。
 迎えた同3月2日。アビスパ福岡とのYBCルヴァンカップ・グループステージ初戦の後半開始から途中出場。続くジュビロ磐田戦では先発出場を果たすなど、グループステージで3試合、計139分間にわたってプロの激しい攻防を肌で味わった。
 埼玉県の強豪・昌平で1年生にして主軸を担い、2年生でエースの証である「10番」を拝命。右サイドを主戦場に、身長175cm体重70kgのがっしりした体格を生かした力強いドリブル突破と、高いテクニックを駆使したチャンスメイクで対戦相手の脅威になってきた。
 大晦日に行われた近江(滋賀)との初戦では常に複数のマークにあった。エースの宿命といえる状況は、昨夏のインターハイ覇者、前橋育英(群馬)と対決する3回戦屈指の好カードでもさらに激しさを増すはずだ。ただ、荒井はさらに先を見つめている。
 FC東京のキャンプや日々の練習で同じ時間を共有したMF松木玖生(19、青森山田卒)から大きな刺激を受けた。それは3年連続で選手権の決勝を戦い、前回大会ではチームを日本一に導いた実績から生み出されるオーラといってもよかった。
 自分も松木に続いて周囲をうなずかせる結果を残し、特別指定選手の肩書きが外れた真のプロとして勝負を挑む。真価が問われる大一番へ。荒井は静かに牙を研いでいる。

【名願斗哉】[大阪・履正社3年/MF/180cm・66kg]
 左サイドを主戦場とするドリブラー。緩急を駆使し、マーカーの逆を突いて抜きにかかる。卒業後には川崎フロンターレの一員としてプロの第一歩を踏み出す。
 履正社の「10番」を背負う名願斗哉(みょうがん・とうや)のプレースタイルや進路を見るたびに、先のカタールW杯で鮮烈な活躍を演じた川崎出身のドリブラー、三笘薫(25、ブライトン)をイメージさせる。実際、大会前から“ネクスト三笘”と呼ばれている。
 テレビ越しに大きな刺激を受けた日本代表の戦いのなかで、名願自身も同じポジションの三笘を意識して見た。リスペクトの思いも抱きながら、同時に「自分は自分としてやっていきたい」と、積み重ねてきた武器をさらに磨き上げていく決意を新たにしている。
 中学生年代はガンバ大阪ジュニアユースで心技体を磨いた。しかし、テクニックを駆使するドリブルが認められず、同ユースへの昇格を逃した。失いかけた自信を履正社での3年間で取り戻し、川崎内定を決めた際にはファン・サポーターへこんなコメントを残している。
「自分はドリブルからチャンスを作るのが得意なので、そこを見てほしいです」
 名願にとって最初で最後の選手権となった今大会。2試合で10得点をあげた履正社でマークしている1ゴール3アシストも通過点。1973年度大会の北陽を最後に49年も遠ざかっている大阪勢の優勝を目指して、名願は左サイドから仕掛け続ける。

 

関連記事一覧