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FW&DFの異色の“二刀流”森重陽介(日大藤沢)が先制ゴールを決めるもPK戦で涙をのんだ(写真・アフロスポーツ)
FW&DFの異色の“二刀流”森重陽介(日大藤沢)が先制ゴールを決めるもPK戦で涙をのんだ(写真・アフロスポーツ)

1m98あるFW&DFの“異色二刀流”森重陽介はサッカー界の大谷翔平になれるのか…先制ゴール決めるもPK戦の末に敗退

第101回全国高校サッカー選手権の3回戦8試合が2日に行われ、等々力陸上競技場では198cmの長身を誇るFW&DFの異色の二刀流、森重陽介(3年)を擁する日大藤沢(神奈川)が1-1から突入したPK戦を3-5で落とし、神村学園(鹿児島)の前に涙を飲んだ。FWで先発した森重は後半11分に豪快なヘディング弾を決め先制するも、センターバックに回った直後の同15分に追いつかれた。J 2の清水エスパルス入りするホープはFWとDFのどちらに適性があるのか。プロの世界へも二刀流で挑むのか。

 大会3ゴールを決め「後悔はない」

 達成感とちょっぴりの後悔、そして衝撃的なゴールの余韻を残して、サッカー界の異色のリアル二刀流、森重の最初で最後の選手権が終わりを告げた。
 1-1のまま突入したPK戦。森重は自ら希望した4番手で成功させたが、神村学園の5番手、MF名和田我空(1年)に難なく決め返された。
 5人全員が成功させた神村学園に対して、日大藤沢は1番手を担ったMF野澤勇飛(3年)が止められたのが最後まで響いた。それでも試合後のロッカールームで、チーム全員で「やり切った」と叫び合った日大藤沢に、そして森重に涙はなかった。
「チームとしてベスト8に行けなかったのは悔しいけど、この高校選手権の舞台に立てて、自分たちのサッカーができてしっかりと2回勝てた。個人としても3得点できたし、それは次のステージにもつながっていく。その意味では後悔はないです」
 森重が今大会で決めた3ゴール目が、スタジアムに衝撃を与えた。
 0-0で迎えた後半11分。左利きのDF宮崎達也(2年)が蹴った左CKが、相手ゴールから遠ざかる軌道を描きながら落ちてくる。それまでファーサイドにいた森重は、以心伝心でゴール中央に生じたエアポケットに走り込んでいた。
「ニアのストーンを超えてから、真ん中で自分がしっかり頭で叩く。選手権でやっと練習通りのコーナーキックができました。あとは気持ちでしっかりと決めました」
 相手のマークを振り切っていた森重が、勢いをつけた助走から完璧なタイミングで宙を舞う。たった一人の空中遊泳。頭ひとつ、いやふたつは抜きん出ていた高い打点から放たれた豪快なヘディング弾が、ゴール右隅に鮮やかに吸い込まれていった。
 神村学園のGK広川豪琉(3年)が一歩も動けない先制ゴール。今大会終了後に渡独し、ブンデスリーガ1部のボルシアMG入りする高校ナンバーワンストライカー、福田師王(3年)も自身の178cmの身長を引き合いに出しながら苦笑するしかなかった。
「本当に高かった。頼む、少し身長を分けてくれって思いました」
 直後に日大藤沢の佐藤輝勝監督(44)が動いた。
 最初の交代カードで、DF楠本爽(3年)に代えてFW有竹翔吾(3年)を投入。同時に最前線で群を抜く存在感を放っていた森重をセンターバックへ回した。神奈川県大会から定石だった、森重のリアル二刀流が準々決勝進出へ向けて発動された。

 

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