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FW&DFの異色の“二刀流”森重陽介(日大藤沢)が先制ゴールを決めるもPK戦で涙をのんだ(写真・アフロスポーツ)
FW&DFの異色の“二刀流”森重陽介(日大藤沢)が先制ゴールを決めるもPK戦で涙をのんだ(写真・アフロスポーツ)

1m98あるFW&DFの“異色二刀流”森重陽介はサッカー界の大谷翔平になれるのか…先制ゴール決めるもPK戦の末に敗退

 森重は中学生年代、東京ヴェルディのジュニアユースでセンターバックやサイドバック、ボランチでプレーした。身長が急激に伸びた成長痛に悩まされ、ユースへの昇格を逃した森重は日大藤沢へ進学。2年生からFWとの二刀流挑戦をスタートさせた。
 どうしてもゴールがほしい試合の終盤になって、最終ラインの長身選手が最前線に上がって得点能力を生かすパワープレーは珍しくない。日本代表で活躍した田中マルクス闘莉王や、昨年末に引退を表明した槙野智章らは“DFW”とよく呼ばれた。
 ただ、その逆は稀有といっていい。しかも、森重の場合は後半の途中で守備をさらに強化する明確な目的のもとでポジションを移す。12月29日の西原(沖縄)との1回戦でも、2点をリードしていた後半14分から森重がセンターバックに回っている。
 ゆえにMLBの大谷翔平(エンゼルス)に倣い、サッカー界のリアル二刀流と異名がつけられた。実際にセンターフォワードとセンターバックのどちらに適性があるのか。佐藤監督は試合後に「どちらも可能性があると思っています」と3年間をこう振り返った。
「彼のような才能を預かってから、大成させなければいけない、という使命感のもとで指導してきたなかで、まだ決めてはいけないんじゃないかと思っていました」
 佐藤監督によれば、性格はフォワード向きだという。
「負けず嫌いで、自分が得点を取るんだ、という気持ちをどんどん解放していく意味では勝ち気なものを持っている。一方で後ろにいったときには落ち着いて、自制心を持って全体を見ながらプレーしよう、ということも常に話し合ってきました。最終ラインからのフィード能力や闘争心、リーダーシップを見ていると後ろでの可能性も感じます」
 体のサイズは生まれつきの才能といっていい。
 ましてや198cmのビッグサイズは、センターフォワードでもセンターバックでもいま現在の日本サッカー界にまず見当たらない。しかも森重の場合は50mを6秒2で走破するスピードと、足元の高いテクニックをもその体に搭載している。
 森重自身も高さを武器と認めながら、まだまだ発展途上と強調する。
「高さだけでは通用しないと思っている。体の太さであるとかもっと俊敏な動き、アジリティーという部分を個人的にもっともっと強化していかないといけない。いまはメインがフォワードなので、フォワード目線で語ることが多い感じですけど、(この先は)どちらでやるのかはまだわかりません。ただ、どちらでもトップレベルでプレーして結果を出したい」
 昨年9月に発表された清水への加入内定は、2度の練習参加を介して勝ち取った。最初がセンターバックとして、2度目がセンターフォワードとして練習に参加。現状では「FW」としての加入だが、森重自身は両方で可能性を追い求めたいと未来を見すえる。
 森重の思いを汲む形で佐藤監督もあえて二刀流でプレーさせ、プロの世界での選択肢や育成方法を加入する清水の方針へ託した。指揮官はこうも語っている。
「彼がこれから、どのようにして世界で活躍していくのか。誰よりも彼の才能を信じながら、どちらでも可能性を残してあげたいと思ってきました」

 

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