• HOME
  • 記事
  • 一般スポーツ
  • 駒大“3冠”の裏に見えた箱根駅伝“第3の敵”との戦い…故障対策や選手層が厚くなければ勝てない時代へ
箱根駅伝で2年ぶりに総合優勝を果たした駒大。アンカー青柿響が出雲駅伝、全日本大学駅伝との“3冠”を指で示してゴール(写真・日刊スポーツ/アフロ)
箱根駅伝で2年ぶりに総合優勝を果たした駒大。アンカー青柿響が出雲駅伝、全日本大学駅伝との“3冠”を指で示してゴール(写真・日刊スポーツ/アフロ)

駒大“3冠”の裏に見えた箱根駅伝“第3の敵”との戦い…故障対策や選手層が厚くなければ勝てない時代へ

  今年の箱根駅伝は連覇を目指す青学大と3冠にリーチをかけた駒大の〝2強対決〟に熱視線が注がれていた。結果は駒大が大会歴代3位の10時間47分11で総合優勝。往路で30秒差につけた中大が1分42秒差の2位に入った。青学大は4区まで首位争いを繰り広げたが山で急降下。それでも9区岸本大紀(4年)の5人抜きでトップスリーを確保した。

 駒大と青学大は直前の離脱者に苦しむ

 

 上位3校を比べると駒大と青学大は箱根駅伝の〝第3の敵〟に苦しめられた。それは直前の離脱者だ。
 10区間で争われる箱根駅伝。当然、出場できるのは10人だけだが、レギュラー候補の全員がそのまま走ることはまずない。駒大と青学大は直前になって、何人もの選手を欠くことになったのだ。
 駒大は全日本大学駅伝の最終8区で区間賞を獲得した花尾恭輔(3年)が胃腸炎になり、欠場。ライバル校を揺さぶる意味を込めて8区に登録されたが、出場予定はなかった。
 出雲駅伝と全日本大学駅伝で区間新の快走を見せたスーパールーキー佐藤圭汰は2日前に腹痛を起こして欠場。本来なら7区に入る予定だったという。
 エース田澤廉(4年)も12月初旬に新型コロナウイルスに感染。
「熱が出て、咳も止まらない状況でした」と走れない時期が1週間あり、2週間ほどのトレーニングで仕上げてきた。明らかに精彩を欠いていたが、絶対エースは驚異の走りを披露。
「正直、1時間7分かかるかなと思った」と言いながら1時間6分34秒の区間3位でカバーした。

 今大会、大八木弘明監督は選手たちに「区間賞とかではなく、全員が区間5位以内で走れば総合優勝できる」という声をかけていた。
 そして10人全員が区間5位以内で走破(区間賞は1人のみ)。大八木監督の言葉通りになった。3冠に到達できた一番の要因を尋ねられると、以下のように答えている。
「勝つんだという気持ちと、選手層の厚さを作れたことですね。過去2回、箱根で駅伝3冠に挑戦していますが、誰かが故障したら厳しくなった。特にエース格の選手たちが故障や体調不良になって、物凄い戸惑いがあったんです。でも今回は違った。選手層の厚いチームを作るのが箱根駅伝で勝つための戦略で、実際、リザーブの選手も区間5位以内で走ってくれました。選手層で青学大に勝てたんじゃないでしょうか。でも本当にギリギリでしたね。あと1人、2人ちょっとおかしくなったら危なかったかもしれません」

 駒大は、“第3”というより、むしろ最大と言ったほうがいい“敵”に悩まされながらも、どうにか打ち勝つことができたのだ。

 一方、青学大は離脱者が出たことで、山区間に〝玉突き事故〟が起きた。登録メンバーでは山上り5区は若林宏樹(2年)、黒田朝日(1年)、脇田幸太朗(4年)の順で候補に挙がっており、山下り6区は脇田、西川魁星(4年)の順だった。ベストメンバーでいえば「5区若林、6区脇田」という布陣になる。
 黒田が故障したため、当て馬として4区に登録。5区に若林、6区に西川を入れて、当日変更で脇田を6区に投入する予定だったという。しかし、元日に若林が体調不良になったことで、上り3番手の脇田が5区、下り2番手に西川が6区に出場することになったのだ。そして、この2区間がブレーキになった。5区脇田は1時間12分47秒の区間9位、6区西川は1時間3分23秒の区間20位。急遽の変更で、山区間のふたりはうまく合わせることができなかった。
 9区の区間記録保持者・中村唯翔(4年)は故障で離脱。その結果、前回7区区間賞の岸本が9区にまわり、7区には前回8区2位の佐藤一世(3年)が入ったものの、区間7位とふるわなかった。

 

関連記事一覧