FW大量放出の浦和レッズは本当にタイトル獲得の目標を達成できるのか…補強の目玉はFW興梠慎三の復帰だけ
J1の浦和レッズは6日、本拠地のさいたまスタジアムで2023シーズン新体制発表記者会見を開いた。2年間指揮したリカルド・ロドリゲス前監督(48)との契約を解除。ポーランド出身のマチェイ・スコルジャ新監督(50)を迎えたチームのFW陣からは、2年間で公式戦27ゴールをあげたキャスパー・ユンカー(28)や元日本代表の江坂任(30)らがいなくなった。新戦力の目玉が北海道コンサドーレ札幌への期限付き移籍から復帰したFW興梠慎三(36)だけという状況で果たしてタイトル獲得の目標を達成できるのだろうか。
新体制発表会見で異例の謝罪
新体制発表の舞台で、謝罪の言葉が飛び出す場面があった。
「コンセプトの浸透がなかなか進まない現実がありました。結果の方も結果を出すはずの昨シーズンはリーグ戦で9位と振るわず、本当に申し訳なく思っております」
頭を下げたのは浦和の土田尚史スポーツダイレクター(SD、55)だった。西野努テクニカルダイレクター(TD、51)とともに3ヵ年計画を立ち上げたのが2020年1月の新体制発表会見。最終年だった昨シーズンの目標にはJ1リーグ優勝が掲げられていた。
しかし、1年目を終えた時点で大槻毅監督(50、現ザスパクサツ群馬監督)との契約を解除。徳島ヴォルティスをJ1昇格に導いたスペイン出身のロドリゲス監督を招へいし、積極的かつ大胆な世代交代を図りながら3ヵ年計画を継続させてきた。
迎えた勝負のシーズンはしかし、開幕から一度も優勝争いに絡めないまま幕を閉じた。最終的にリーグ最多タイの「15」を数えた引き分けが、勝ち切れなかった意味で大きく響いた。「48」をマークした総得点はリーグ4位だったが、ここという場面で取れなかった。
YBCルヴァンカップも、大会連覇を狙った天皇杯も頂点に手が届かなかった。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)こそ3大会ぶり4度目の決勝進出を果たしたものの、J1リーグ戦の最終節を前にして2年間指揮を執ってきたロドリゲス監督との契約も解除された。
迷走しているように映ってやまないチームの方針。しかし、土田SDは謝罪に続いて新体制のもとで目指す方向もタイトル争いで変わらないと力を込めた。
「われわれはコンセプトを大事にして、それをベースにスタイルを掲げてチームを作ってきました。これを継続してより攻撃的な、魅力のあるチームを作っていきたい」
さらに、3月31日に期限を迎える移籍の第1ウインドーを念頭に置きながら、新たな選手の補強を含めたチーム編成に対してもこう言及した。
「これはウインドーが開いている限り行っていく、とお答えさせてください」
補強に関して質問が出たのには理由があった。新体制発表会見に登壇した新加入選手は5人。内訳はFWが2人で、DF、MF、GKが1人ずつとなっている。2人が期限付き移籍からの復帰で1人がユースからの昇格、そして残る2人がJ2クラブからの補強。2021年の9人、昨年の13人と比べて、補強した人数そのものも大きく減っている。
FWにはJリーグ歴代2位、現役選手では最多の163ゴールをあげている興梠も含まれている。しかし、現状では浦和を去った選手たちが与えたインパクトの方が大きい。