• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • どうする井岡一翔?!WBOから30日以内の対戦交渉指令された”ネクストモンスター”中谷潤人戦か、WBC王者エストラーダ戦か?
WBO世界Sフライ級王者、井岡一翔の“選択”に注目が集まる(写真・山口裕朗)
WBO世界Sフライ級王者、井岡一翔の“選択”に注目が集まる(写真・山口裕朗)

どうする井岡一翔?!WBOから30日以内の対戦交渉指令された”ネクストモンスター”中谷潤人戦か、WBC王者エストラーダ戦か?

 WBOは9日(日本時間10日)、WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33、志成)と同級1位で前WBO世界フライ級王者の中谷潤人(25、M・T)の両陣営に指名試合として対戦交渉を開始することを指令した。180日以内に試合を設定せねばならず、もし30日以内に合意しなければ最低額10万ドル(約1320万円)の興行入札が行われることになる。井岡陣営は、当初、「王者の義務として」指名試合を受けて立つ方針だったが、最大のターゲットとするWBC世界同級王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(32、メキシコ)との対戦を優先したい考えで、交渉の進展次第では、WBO王座を返上する可能性もある。

 「チャンピオンとして挑戦者を迎え討つのは義務」と語っていたが…

 

 井岡は大晦日にWBA世界同級王者のジョシュア・フランコ(27、米国)と2団体統一戦を戦ったが、ファンの間で賛否が飛び交った微妙な0-1判定でドローとなり、ベルトをまとめることができなかった。
 井岡は、当初、2団体統一を終えた後にWBOから180日以内の対戦を義務づけられていた中谷との防衛戦を行い、年末にエストラーダとの3団体統一戦に挑むプランを練っていた。
 フランコ戦前の会見では、中谷との対戦について「チャンピオンとして挑戦者を迎え討つのは当たり前のこと。それが誰であろうと、中谷選手であろうと、チャンピオンとしての義務。それはそれで特に(中谷との対戦に)思うことはない」とコメント。中谷との指名試合を受けて立つ考えを示した。
 中谷も大晦日の試合をリングサイドで観戦。
「やるからには勝つという気持ちで仕上げていく。井岡さんは、安定しているボクサー。フランコが手を出し続けたような集中力がいる試合になる。いいイメージはできた。僕はサウスポーなんでね。距離…井岡さんが結構下がっていたので合わせるタイミングのイメージができた」と、闘志をむき出しにした。中谷は、スーパーフライ級への転級のテストマッチとして、昨年11月には、井岡が意外に苦戦したフランシスコ・ロドリゲス(29、メキシコ)と対戦し判定勝利を収めている。
 だが、フランコ戦でのドローと「現役復帰した理由はエストラーダとの対戦を実現したかったから」と語るほど、ずっと井岡が対戦を熱望してきたエストラーダが来場し、陣営と下交渉を行い、前向きな方向を確認できたことで、そのプランを変更、WBOの王座を返上してエストラーダ戦を優先させる可能性が出てきたのだ。
「負ければ引退」の覚悟をもって1戦1戦を戦っている井岡にしてみれば、メリットのない中谷との”世代交代マッチ”よりも、フライ級時代から因縁があり、この階級で世界的なビッグネームである憧れのエストラーダ戦を優先したいと考えるのは、当然の方向性だろう。
 エストラーダのマネージャーは、井岡サイドに「メキシコでも米国でも日本でもいい。条件次第(ファイトマネー)だ」と伝え、エストラーダ自身も「井岡かフランコか、オファーがあった方と戦うが、個人的には井岡と戦いたい」と発言した。
 試合後には、井岡の控室を訪れ「フライ級時代から君と戦いたかった」と語りかけて、井岡も「僕もあなたと戦いたい」と応答。「次はリングで会おう」と約束している。
 ただWBOの指名試合よりも、エストラーダ戦を優先させる場合は、WBOのベルトを返上しなければならない。エストラーダ戦は統一戦にはならないが、エストラーダは「たとえ井岡がタイトルを持っていてもいなくても関係ない」とも語っており、ベルトの有無は障害にはならない。
 井岡陣営は、今回のWBOからの指令を受け、中谷との交渉とエストラーダとの交渉を両にらみでスタートさせる考えで、もしエストラーダ戦が実現するのであれば、そちらを優先させて、中谷との指名試合は回避し、必然的にベルトを返上する方向になるという。
 その場合、中谷は、WBOの王座決定戦への第一出場権を得ることになり、同級2位の前WBA世界同級王者のアンドリュー・モロニー(31、豪州)か、同級3位で元3階級制覇王者の田中恒成(27、畑中)と対戦することになる。
 いずれにしろ井岡陣営は、30日間の中谷との交渉期限内に白黒をつけなければならない。

関連記事一覧