藤浪晋太郎とアスレチックスの契約がチーム5番目の高額となる1年4億1900万円と判明…なぜ阪神で3勝5敗の右腕が高評価されたのか
阪神からポスティング申請をしていた藤浪晋太郎(28)がアスレチックスと1年契約で合意、年俸は325万ドル(約4億1900万円)の破格の好条件であることが12日(日本時間13日)、明らかになった。敏腕記者で知られるUSAトゥデイのボブ・ナイチンゲール氏がスッパ抜いたもので20%のポスティング費用の65万ドル(約8400万円)を合わせると総額390万ドル(約5億300万円)の契約となり、現在のアスレチックスの中では5番目の高額プレーヤーになるという。アスレチックスは藤浪を先発ローテーションの1人と考えており、最速160キロの速球と、スプリット、スライダーの変化球に加え、昨季の四球率がキャリアベストまで改善された制球力が高評価につながったとみられる。フィジカル検査を経て交渉期限の米東部時間14日午後5時(日本時間15日午前7時)までに正式契約が結ばれる方向だ。
「火炎放射器」と表現された潜在能力に改善された制球力
意外と言っては失礼か。
1年契約で藤浪と合意したアスレチックスは、エンゼルスの大谷翔平と双璧の逸材として大阪桐蔭高時代からマークしてきた虎の右腕に驚きの高値を付けた。
敏腕記者として精度の高いニュースを出すことで知られるボブ・ナイチンゲール氏は、「日本選手で先発右腕の藤浪晋太郎は身体検査を来週に完了すれば、オークランド・アスレチックスとの1年契約で325万ドル(約4億1900万円)を得る。現在の(アスレチックスの)総額2600万ドル(約33億5400万円)のロースターの中で5番目の高額年俸選手となる」とツイートした。
今季の推定年俸4900万円が約10倍に跳ね上がったのだ。
さらに藤浪の場合、20%のポスティング費が必要で、それが65万ドル(約8400万円)。年俸と合わせて総額390万ドル(約5億300万円)をアスレチックスはかけることになった。
ナイチンゲール記者が指摘するようにアスレチックスの年俸ランキングを見ると、1位が2年1450万ドル(18億7000万円)のアレドミス・ディアス遊撃手で、2位が1年700万ドル(9億円)のトレバー・メイ投手、3位が2年950万ドル(12億2500万円)のジェイス・ピーターソン二塁手、4位が2年800万ドル(10億3000万円)のマニー・ピニャ捕手で藤浪は5番目の高額プレーヤーとなる。
アスレチックスが、今季3勝5敗の右腕をそこまで評価したのは、CBSスポーツが「火炎放射器」と表現するほどの威力を持つ潜在能力だろう。
MLB公式サイトは「100マイル(約161キロ)の速球と、90マイル前半のスプリッター、そして鋭いスライダーの3つの球種のミックスが特徴だ」と評価。さらにオフのトレード情報に詳しい米専門サイト「トレード・ルーマーズ」は、「制球難からのスランプで2017年から2021年は彼の株が急落した。だが、2022年はルネサンス(復活)と言えるシーズンになった。10試合に先発、6試合に中継ぎ登板して66回3分の2を投げて防御率3.38をマークし、特筆すべきは四球率がキャリアベストの7.6%だったこと。2016年以来、初めて10%を切った」と課題だった制球力に改善が見られたことを指摘し「ゾクゾクするような可能性がある」と称賛した。
加えてアスレチックスの投手補強が急務だというチーム事情がある。
昨季は60勝102敗でア・リーグ西地区の最下位で、防御率はメジャーで24位の4・52に終わった。勝ち頭が9勝13敗の左腕コール・アービンで、2番手が、防御率4.28で7勝6敗のポール・ブラックバーン。アスレチックスは今オフに韓国プロ野球で助っ人として活躍していた右腕のドリュー・ルシンスキーを300万ドル(3億8700万円)で獲得しており、前出の「トレード・ルーマーズ」によると、先発3番手を藤浪とルシンスキーで争うことになるという。藤浪をローテーの1人として計算した上での値段なのだ。