井上尚弥と拓真が互いを語った兄弟同時世界王者誕生の可能性とは…今春予定の”モンスター”Sバンタム転級初戦相手候補に”超大物”WBC＆WBO王者フルトンが急浮上？！

　尚弥はスーパーバンタム級での不安要素を「耐久性とフレームの違い」としていた。1m65の尚弥は1m70クラスが揃っているスーパーバンタム級では小柄な部類で「1.8キロの壁」が立ちはだかる。
　すでにバンタム級からスーパーバンタム級への転級を経験、WBOアジアパシフィック＆日本タイトルも獲得している拓真は、兄の転級をこう考えている。
「アドバイス？不安要素は見あたらない。あとはモチベーションだけ」
　すると隣の尚弥が「高いよ、モチベーション！」と突っ込んだ。
「じゃあ、必ず(世界を）獲れる。スパーリングで上（の階級のボクサー）とやってもパワー負けしていない」
　太鼓判を押した。
　拓真は「人生で一番強かった相手」を尚弥とし「すべてにおいて尊敬できる。超一流。練習量、質、そして強い相手と戦って倒してきている。スゲエなと思うし、自分はまだまだと思い知らされたりする」とも語っていた。
　尚弥は、4月に予定されている転級初戦について「今会長が交渉している対戦相手というのは自分も耳にしている。凄くモチベーションの上がる相手でモチベーションが上がった時は、自分も、結構良い試合ができているので、自分自身に期待している」と、交渉の内幕を明かした。
　井上が耳にした対戦相手とは誰なのか。前日の4団体の返上会見で戦いたい相手が「4人いる」とした標的の1人なのだろう。
　WBA＆IBF王者ムロジョン・アフマダリエフ（28、ウズベキスタン）は、IBFからマーロン・タパレス（30、フィリピン）との指名試合をオーダーされているために消え、WBC＆WBO王者スティーブン・フルトン（28、米国）は、階級を上げて2月25日にミネアポリスでWBC世界フェザー級暫定王座決定戦を因縁のブランドン・フィゲロア（26、米国）と戦うという具体的な報道もあった。だが、ここにきてフルトンが自身の公式ツイッターで日本との関連をほのめかしているとも取れなくもない謎のツイートを残している。もし井上陣営が交渉中の相手が21戦無敗の2団体統一王者フルトンであれば「凄くモチベーションが上がる相手」という尚弥の発言とも符合する。
　尚弥は転級初戦に「テストマッチはいらない」とも語っていた。
　フルトンのフェザー級への転級に対しては、モンスターとの対戦が幻に終わるため、米メディアから「ビジネスチャンスを失う」「黒星の機会を回避できた」などの様々な指摘がありフルトンにも思うところはあるのだろう。　
　1m70に近い身長のフルトンは、確かに減量が厳しいらしいが、世界が注目している尚弥との対戦機会を逃す手はないのかもしれない。
　いずれにしろすべてはフルトンの決断次第。
　もしフルトンがフェザー級転向を決意するのであれば、米専門サイト「ボクシングシーン」を通じて「井上尚弥に最初に黒星をつける男になる。無敗をかけた戦いをしてみないか？」との挑戦状を叩きつけてきた20戦（12KO）無敗でWBO1位、WBC、IBF4位のライース・アリーム(32、米国)が最有力となる。フルトンが王座を返上すれば、この試合が、王座決定戦となる可能性もある。今後の交渉過程に注目が集まる。