ボクシング転向正式表明の那須川天心は”モンスター”級の世界王者になれるのか…エキシで対戦経験のある亀田興毅氏の見解とは?
所属先となる帝拳ジムでは、正式な転向会見を終えた後に、昨秋に続き、再度米国での合宿を計画している。亀田氏の指摘するようなキックの癖を抜き、ボクシングへのモデルチェンジを徹底させる狙いがあるのだろう。
ボクシングでの適正階級はどうだろう。
キック時代には主に55キロから58キロの間で戦ってきた。帝拳サイドは53.52キロのバンタム級で勝負させたい意向でいるそうだが、亀田氏も、「僕と対戦したときは、58.5キロの契約でした。通常体重は62、3キロあるようなので減量はきついが、10キロくらいなら十分バンタム級に落とせますよ。最初はバンタム級でスタートし、キャリアを積んでいくにつれスーパーバンタム級に上げるのがベストかも」と、そのプランに賛同した。
そして結論である。
――天心は何年でボクシングの世界王者になれますか?
「2年間、しっかりとキャリアを積めば世界チャンピオンになれるでしょう。帝拳ジムさんなら育成手段も間違いないと思います」
亀田氏は、そう太鼓判を押す。世界王者4団体時代。世界でも有数のプロモート力を持つ帝拳であれば、必ず世界奪取への道筋は作る。日本人には不可能とされたミドル級で、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(37)を世界王者にして見せたのだ。
天心の場合、求められるのは世界王者のさらに上。バンタム級の4団体を統一した井上尚弥(29、大橋)級の“モンスター”になれるかどうかである。
亀田氏もそこだけは即答とはいかなかった。
「うーん。井上選手クラスとなるとねえ。井上選手は本当にズバ抜けて強いです。ただ年齢的に天心選手は、まだ24歳と若いので、井上選手のように世界の強豪と戦い、内容のあるキャリアを積んでいければ、可能性としてはあると思います」
年始に物議を醸したミニマム級のダブル世界戦をプロモート。「3150FIGHT」というボクシングイベントのファウンダーとして各ジムの枠を超えて、ボクシング人気の拡大と、ボクサーの発掘、待遇改善に力を入れている亀田氏は、最後に天心のボクシング転向をこうまとめた。
「これでまたボクシング界が盛り上がると思います」
今春にもボクサー天心がベールを脱ぐ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)