なぜ阪神の岡田監督は3か月遅れでも今岡真訪氏を1軍打撃コーチで古巣復帰させたのか?
あらゆる打順に対応してきたという実績に加え、現役の最後はロッテでプレー。阪神では、金本知憲監督に誘われ、2軍での野手総合コーチを経験し、その後、ロッテで2軍監督、1軍ヘッドを務めるなどした。
岡田監督も自身のキャリアを「オリックスでいい経験をさせてもらった」と振り返るが、今岡氏も同様に“他球団の飯を食ってきたこと“も評価している。
昨季はチーム得点489、打率.243、本塁打数84がすべてリーグ5位と低迷。抜群の投手陣がありながら打てずに負けた。打撃強化は、”アレ”を狙う上での最大のテーマであり、岡田監督は、秋季キャンプから自ら動いて4番候補の大山悠輔や若手を積極的に指導したが、やはり今岡氏と、元近鉄、オリックスの水口栄二(54)の両打撃コーチの手腕に期待する部分が大きい。
今岡氏も「(岡田監督からは)とにかくバッティングのレベルアップ。手助けをしてくれないかとシンプルなお言葉をいただきました」と言う。
そして今岡氏の入閣にはもうひとつの狙いがある。
岡田監督の就任会見の際に当時のオーナーである藤原崇起(70)は「岡田監督に後任の指導者育成への期待はあるのか?」との質問に対して「1戦1戦、相撲でいう1日1番。継続的に強くする秘訣を(チームに植え付けてもらうことを)監督にも期待するのですが、目標達成にむかって頑張って欲しい」と明言を避けたが、阪急阪神ホールディングス全体の意思としては、「岡田監督に次の監督候補を育成してもらう」という“ミッション“が課せられている。
前監督時代は5年指揮を執った岡田監督が、「長くやるつもりはない」と公言する裏には、「次の阪神を背負う人材に指導者としての経験を積ませたい」との熱い”阪神愛”があるのだ。
岡田監督は、当初、球団SAだった藤川球児氏(42)、阪神OBである鳥谷敬氏(41)、赤星憲広氏(46)、井川慶氏(43)、桧山進次郎氏(53)らのまだコーチ経験のない2005年の豪華なVメンバーの入閣も検討していた。
それぞれに事情があって今回の入閣は見送りとなったが、監督のユニホームを着ている間に、コーチ業を経験させ、自らの野球理論、哲学のすべてを伝え、“ポスト岡田“の人材を何人も内側から育成しておきたいとの考えがある。鳥谷氏、赤星氏には、今春キャンプの臨時コーチを依頼している。
タイガースの未来をも描きながら”アレ”を本気で狙う新生岡田阪神は2月1日から沖縄で本格スタートを切る。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)