• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 井上尚弥が年内に世界初2階級4団体統一達成の可能性が浮上…フルトン戦合意に続き、もう一人の世界王者アフマダリエフが”モンスター”との対戦を熱望
アフマダリエフの対戦ラブコールで井上尚弥が年内に世界初となる2階級4団体統一を果たす可能性が出てきた(写真・山口裕朗)
アフマダリエフの対戦ラブコールで井上尚弥が年内に世界初となる2階級4団体統一を果たす可能性が出てきた(写真・山口裕朗)

井上尚弥が年内に世界初2階級4団体統一達成の可能性が浮上…フルトン戦合意に続き、もう一人の世界王者アフマダリエフが”モンスター”との対戦を熱望

 井上は、13日の会見で、こんなビジョンを語っていた。
「バンタム級で(4団体統一に)4年8か月かかったようにスーパーバンタム級で本当にアジャストして戦っていくにはそれくらいの年月が必要かなと考えている」
 身長1m65センチの井上はスーパーバンタム級の世界では小柄な部類に入る。バンタム級でも適正と自覚する肉体が完成したのは2022年に入ってから。すでにフィジカル強化を含めたスーパーバンタム級へ向けての肉体改造をスタートさせているが、「現状でも、このクラスと戦える自信はあるが、スーパーバンタム級で敵無しの状態を作るには、まだまだ時間がかかる」という考えがある。それゆえ、スーパーバンタム級での4団体統一を成し遂げる時間を「4年8か月」と見積もっていたが、なんのなんの、いきなり2023年にやってしまう可能性が出てきたのだ。
 井上は、以前には「スーパーバンタム級は王者が4人ではなく2団体統一王者が2人だけだから、連続で対戦できるのがベスト。一気に4団体を統一したい」と語っていたこともある。
 5月に戦うフルトンは身長が1m69あり、フェザー級への転級を考え、一度は、因縁のブランドン・フィゲロア(26、米国)とのWBC世界フェザー級暫定王座決定戦が決まりかけたほどで、フレームがでかい。21戦無敗でショートレンジでも、ロングレンジでも戦える好戦的でタフな万能ボクサーで、1.8キロの“階級の壁”“を最も前面に押し出してくるタイプ。
 一方のアフマダリエフは2015年の世界選手権銀メダル、リオ五輪銅メダルのアマエリートで、岩佐との統一戦では、5回TKO勝利するなどの爆発力はあるが、身長は1m66と井上と同等程度で”階級の壁“は、それほど感じることなく戦える相手。手探りで新しい階級のチャレンジする井上からすれば、順番が逆だった方がベストだが、逆にフルトンに勝てば、スムーズに4団体統一への流れができる。
 しかし、4団体統一は各団体の指名試合などが絡んでくるため強さだけではなく、運とタイミングが合わねば達成は難しいという現実がある。
 実際、WBCは、2月18日に元2階級制覇王者で同級1位ルイス・ネリ(28、メキシコ)と同級2位アザト・ホバニシャン(34、アルメニア)で挑戦者決定戦を開催することが有力となっており、井上―フルトン戦の勝者は、この指名試合をアフマダリエフとの統一戦より優先せねばならない可能性が高い。ネリは元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏との2度にわたる戦いでドーピング問題、体重超過を犯している悪名高きボクサーで、日本のリングからは事実上の永久追放処分を科せられている。
 世界初となる2階級4団体統一の達成は一筋縄ではいかないが、”モンスター”ゆえの求心力が、世界のボクシング界の話題を独占しそうだ。

関連記事一覧