なぜ三笘薫の「Absolutely no chance(お手上げ)」と実況された“ゴラッソ”が生まれたのか…見えてきた日本人プレミア最多得点記録
試合はその後にレスター・シティが逆転に成功するも、途中出場していたアイルランドの新星、18歳のFWエバン・ファーガソンが土壇場の後半43分に起死回生の同点ゴールをゲット。そのまま引き分けたなかで、三笘はフル出場を果たしている。
ブライトンの地元メディア『Sussex Live』は試合終了からほどなくして、レスター・シティ戦に出場した全選手の採点を掲載。10点満点のなかで、ファーガソンら3選手とともに最高となる8点を与えた三笘のパフォーマンスに次のように言及している。
「左サイドでパスを受けた段階で、すでにゴールへの予感を漂わせていた。もはやどのチームも、この男を止めることはできない」
もっとも、三笘に衝撃を受けたのは中継局や地元メディアだけではなかった。日刊紙『THE Sun』は次のような見出しでスーパーゴールを伝えている。
「われわれは間違ったブライトンのウインガーと契約した――レスター・シティ戦で三笘があげた絶叫に、アーセナルファンがあ然としている」
引き合いに出されたのは、20日にブライトンからアーセナルへの移籍が決まったばかりのベルギー代表FWレアンドロ・トロサール(28)だった。
トロサールは2019年6月に、ベルギーのヘンクから4年契約でブライトンに加入。昨年10月のリバプール戦でハットトリックを達成するなど、左ウイングや1トップを主戦場に、アーセナルへ移籍するまで116試合で25ゴールをあげている。
しかし、今夏で切れる契約の延長をめぐる交渉が、カタール大会中に破談となったあたりからブライトン側との関係が悪化。練習を無断で切り上げたとして、ロベルト・デ・ゼルビ監督は14日のリバプール戦でトロサールを招集メンバーから外していた。
一方でトロサールの代理人も公然と反論を展開するなかで、2700万ポンド(約43億3400万円)の移籍金でアーセナルへの移籍が決まった。しかし、レスター・シティ戦を受けた『THE Sun』の記事は、トロサールが去ったブライトンをこう報じた。
「三笘はトロサールと同じ左ウイングでプレーしているが、ここ最近は絶好調をキープしている。このためブライトンはベルギー代表FWの不在に気づいていない」
さらに同紙はアーセナルファンの声も掲載している。
「トロサールはいい選手だが、それでもアーセナルは三笘を獲得すべきだった。いまから2年後、三笘の市場価値は現在の4倍以上になるだろう」
「三笘はどんでもない才能の持ち主だ。年齢や能力を考えると、トロサールよりも三笘の方がはるかい素晴らしい選択肢だった」
こうした状況を踏まえ、さらにワールドクラスのクオリティーを見せつけたと三笘を高く評価した『THE Sun』は、こんな分析とともに記事を締めている。
「レスター・シティ戦で三笘が決めた素晴らしいゴールによって、アーセナルファンのなかには『ブライトンの別のウインガーと、間違って契約してしまったのではないか』と、トロサールの獲得に疑問を抱いている人もいる」
三笘はカタール大会前から左ウイングまたは左ウイングバックに定着。同時にトロサールの出場機会が減る傾向は中断明け後も変わらず、特に三笘は再開後の5試合ですべて先発。そのうち4試合でフル出場し、直近の4試合で3ゴールをあげている。