日本バドミントン協会副会長就任の前Jチェアマン村井満氏は“不祥事理事”を解任できなかった組織を改革できるのか…「徹底して透明性を」

　　元職員による横領の隠蔽などの不祥事を起こした日本バドミントン協会は22日、東京都内で開催した臨時評議員会でJリーグ前チェアマンの村井満氏(63)を新理事に選任。続けて開催した臨時理事会で、代表理事および副会長への就任を全会一致で承認した。一方で臨時評議員会では隠蔽に関与したとされる理事6人、監事2人に対する解任動議が否決される事態も発生。6月の役員改選で会長に就任する予定の村井氏は、どのような手法で協会組織を再建していくのか。

　一掃できなかった協会内の「旧勢力」

　火中の栗を拾う覚悟を決めて日本バドミントン協会の新理事に就き、さらに副会長を拝命したJリーグの村井前チェアマンにいきなり難題が降りかかった。
　村井氏が新理事に選任された臨時評議員会。続けて採決が行われた、元職員による横領などの不祥事の隠蔽に関与したとされる理事6人、監事2人に対する解任動議が否決。6月には会長に就任する予定の村井氏は、難しい組織運営を迫られる事態に直面した。
　日本バドミントン協会事務局によれば、全55人の評議員のうち4人が欠席。リモートで出席した18人を含めた51人による採決における解任賛成は、過半数で可決される理事が最大で24票、3分の2で可決される監事が15票と20票にとどまった。
　元職員によるトラブルが公表されたのは昨年3月。選手の賞金や合宿時の負担金など約680万円を私的流用していた2018年度の一件を協会側は把握しながら、東京五輪への影響を控えて公表せず、理事らが私費を出し合う形で補填していた。スポーツ庁や日本オリンピック（JOC）は、これを不祥事事案として認定。強化費の2割削減が決まった。
　一連の事態を受けて、同11月には関根義雄前会長と銭谷欽治前専務理事が引責辞任。事業副本部長だった中村新一理事が暫定的に会長を務めるなかで、外部から新会長を招へいし、協会組織全体の抜本的な改革を行うべきだ、という声が上がっていた。
　中村会長は推薦された複数の候補者から、スポーツ団体運営における実績と経験、ノウハウを持つ村井氏に一本化。同12月上旬に初交渉の場が設けられた。
　4期8年にわたって務めたチェアマンを昨年3月に退任。直後に新会社を設立し、全国のJクラブを支える地方企業などを対象とした投資事業を始めていた村井氏は、理事会後に臨んだ会見で「急転直下の話でした」と慌ただしかった1カ月あまりを振り返った。
「門外漢である分野でどこまでできるか、という点で多少の逡巡がありましたが、私自身、日本スポーツ界に対して恩返しをしたい思いがありました。日本バドミントン協会の窮状をお聞きするに、これは逃げてはいけないと感じる自分がいました」