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経営破綻でJFL退会通告を受けた「FC神楽しまね」が保護者説明会を開き、育成組織の活動停止を報告した
経営破綻でJFL退会通告を受けた「FC神楽しまね」が保護者説明会を開き、育成組織の活動停止を報告した

給料払わず19人も退団の“めちゃくちゃ”…JFLが5300万円の債務を抱えて再建の見通し立たない「FC神楽しまね」に退会を通告

 対照的に神楽しまねに関しては、活動継続となった場合、という但し書きのもとで3月12日の開幕戦を敵地で高知ユナイテッドと、同19日のホーム開幕戦をティアモ枚方と対戦する日程の一部が発表されていた。年末から年明けにかけては、中学生年代のジュニアユースの募集や小学生年代のスクール活動も公式HP上で告知されている。
 その矢先にリーグ側から引導をわたされる形で、今シーズンの不参加と実質的なJFLからの退会が決まった。ならば、今後の神楽しまねはどうなるのか。
 JFLの下に位置する9つの地域リーグへの降格は、規約で順位以外の理由では受け入れられない。つまり、今シーズンの神楽しまねは中国サッカーリーグでも戦えない。その下の都道府県リーグへの降格に関しては、島根県サッカー協会の判断に委ねられる。
 しかし、戦う舞台うんぬんの前にクラブは存続の危機に直面している。
 昨シーズン終了後から相次いだ退団者は現時点で19人を数える。そのなかにはクラブOBでもある実信監督(現J3福島ユナイテッドコーチ)や加藤秀典コーチ(現JFLヴィアティン三重アカデミースタッフ)に加えて、キャプテンのMF垣根拓也も含まれる。選手は昨シーズンに所属した27人のうち、実に16人が退団を選んだ。
 松江シティFC時代の2020シーズンから所属してきた31歳の垣根は、退団と関東サッカーリーグ1部のVONDS市原FCへの移籍が決まった昨年末に自身のツイッター(@gome1031)を更新。そのなかでこうつぶやいている。
「三年間、このクラブの主将として戦えたことを誇りに思っています。最大限の感謝を込めて、本当にありがとうございました」(原文ママ)
 選手やスタッフは島根県初のJクラブを目指して、活動していた日々に自負を抱いていたはずだ。
 しかし、限りがあるサッカー人生で養うべき家族の存在も考えたときに、無給状態が続き、先も見通せない神楽しまねに残る決断は下せなかった。
「途中から給与が払われなかった状況で、最後までリーグ戦を戦っていただいた。もし途中でチームがリタイアすれば、リーグの順位を決定する上で非常に大きな問題になる。そのなかで責任を果たしていただいたことに対して心から感謝しています」
 最終節まで矜恃を抱いて戦った選手たちに対して加藤理事長は謝意を表した。同時に神楽しまねの経営陣に対しては、不快感がにじみ出る言葉を残している。
「やはり法人組織、役員の方々のなかに何か問題があったのではないか。さらに適切な法人運営がなされていたのかどうか。こうした点についても疑問の余地があります。何よりもこのようなことが起きて、半年以上も何も対応ができていない現実からすると、会社自体のガバナンスといったものが実際には成り立っていない状況ではないのかと」

 

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