給料払わず19人も退団の“めちゃくちゃ”…JFLが5300万円の債務を抱えて再建の見通し立たない「FC神楽しまね」に退会を通告
加藤理事長によれば、運営法人の宮滝譲治代表取締役社長は昨年11月末からクラブを離れ、組織の指揮が執れない状況にあるという。JFLでは加盟クラブから一人ずつ理事を輩出するシステムを取っていて、神楽しまねは宮滝社長が理事を務める。しかし、この日の臨時理事会は欠席し、神楽しまねの常勤理事2人がオブザーバーとして出席した。
給与の未払い問題をめぐっては元コーチから訴訟も起こされ、今月18日には松江地裁で第2回口頭弁論が行われた。しかし、第1回弁論に続いて被告となる運営法人側は出廷せず、主張を含めた書面も提出しないまま裁判は結審している。
JFL側としては昨年12月、今月上旬の2度にわたって開催した理事会で、神楽しまねに関する問題を継続審議としてきた。最終的に奇数となる15クラブで今シーズンを戦い、試合のないクラブが毎節1つ出る状況に対しても加藤理事長は言及した。
「本来であれば遅くとも12月のある時期までには、リーグ戦を戦うチーム数を確定して、新たなシーズンの準備に入っていただかないといろいろな面で支障をきたす。そういう状況下でもできれば引き続きともにリーグ戦を戦っていきたい、という気持ちを多くの方々がお持ちになっていたのも事実。でなければ、ここまでこの結論を伸ばすことはしていない。そういうなかで今回の判断になった件も合わせて、非常に残念に思っています」
現状で監督が不在で、選手も11人だけとなった神楽しまねは、臨時理事会の決定を受けて「JFL退会のお知らせ」を公式HP上に掲載。そのなかで「これまで応援いただいた皆様にこのような報告をしなければならなくなったこと大変申し訳ありません」(原文ママ)と謝罪。今後のトップチームや育成年代、スクールの活動に関して「現在調整中」としている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)