なぜ阪神の岡田監督はV3狙うヤクルトでも巨人でもなく新スローガン「横浜頂戦」を掲げた横浜DeNAを最も警戒しているのか?
「やはり打力やな。オースティンが開幕に間に合わないらしいが、去年も後半に代打で出てきたくらいでおらんかったやん。佐野、牧、宮崎とクリーンナップが安定しているのが大きい。得点力はヤクルトよりも上ちゃうか。ソトが6番、7番。外国人をこのあたりにおけるのが理想よ。抜群の肩をしている森もこれからもっと伸びてくる選手」
横浜DeNAはオフに補強に動いた。
昨季、意外性のある打撃と投手陣を引っ張るリード面の両方で存在感を示して、93試合に出場、74試合で先発マスクをかぶった嶺井博希がFAでソフトバンクに流出。オースティンが、右肘の手術を行い、2年続けて開幕に間に合わないことは痛手だが、新外国人としてマイナー通算76発の右の外野手で28歳のトレイ・アンバギーを獲得した。メジャー実績は、ほとんどなく、推定年俸3500万円からして、オースティンの代役としては弱いが、得意の綿密なデータを分析して外国人を探してくる横浜DeNAだけに、意外なプラス戦力になる可能性はある。
トレードでは京田を獲得。森敬斗が1本立ちするまで、ショートのポジションを大和、柴田竜拓と争うことで層は厚くなるだろう。
一方で課題もある。
大阪桐蔭からドラフト1位指名した松尾汐恩の1軍キャンプ抜擢が決まったそうだが、まだ線が細く、嶺井の穴を埋めるのは、2年後、3年後だろう。伊藤光、戸柱恭孝に、三浦監督が2軍監督時代から育成している山本祐大で乗り切らねばならない点がウイークポイント。また1、2番が固定できず「1番・センター」として計算していた桑原将志が、昨季は打率.257と数字を落としたのも誤算だった。それでも岡田監督の指摘するように首位打者を争ったキャプテン佐野恵太、WBC出場が決まった3年目の牧秀悟、3年連続で3割をキープした宮崎敏郎のクリーンナップを擁する得点力はセ界トップクラス。昨季のチーム得点こそリーグ4位だったが、打率は2位、本塁打は3位だった。
投手陣では、先発で6勝8敗のロメロをリリースしたが、中継ぎの強化としてJ・B・ウェンデルケンを獲得、この日、来日した。1m85、109kgの巨漢右腕で、昨季はダイヤモンドバックスで29試合に登板して防御率5・28の成績。平均150キロ台のフォーシームにツーシーム、スライダー、チェンジアップを膝元に集めることができ、ボールに角度と制球力があり、入江大生、伊勢大夢、エスコバーと揃う中継ぎ陣をさらに強固にするだろう。岡田監督が、横浜DeNAを要注意チームとしている、もうひとつの理由が、このブルペンの充実にある。