侍JはWBCを「スモールベースボール」ではなくパワー打者を集めた「ビッグベースボール」で勝てるのか…里崎氏に見解を聞く
では投手陣はどうだろう。
先発陣はダルビッシュ、山本、佐々木、今永の4人、そこに第2先発として戸郷、伊藤、高橋奎、高橋宏、宮城の5人、そして、ブルペンには東京五輪で守護神を務めた栗林、松井、大勢、宇田川、湯浅の5人を揃えた。宇田川、湯浅に象徴されるのが、150キロ後半のストレートに、フォーク、スプリットという特殊球を持った投手が選ばれたという点。隙のない人選に思えるが、あえて重箱の隅をつつけば、国際試合の定番だった変則タイプが入っておらずブルペン陣の左腕も松井一人だ。セの最多勝&防御率&最高勝率の3冠に輝いた阪神の青柳に西武の与座といったアンダースローも外された。
栗山監督は中継ぎ左腕を1人に絞った理由を「ルール上、ワンポイントがなく3人以上投げないといけないので特殊的な投手の枠が必要なくなった。左、右ということよりもボールの良さというもので考えるべきじゃないか」と説明した。メジャーでは、試合時間短縮を理由にワンポイント起用を禁止したが、WBCでも、そのルールが採用されるため、ワンポイント左腕よりも、力のある右投手を選んだというわけだ。
里崎氏も、この考え方に賛同。「満塁で抑える度胸があり、イニング途中でいける田口(ヤクルト)を推す意見もあるのかもしれないが、WBCに選ばれてくるようなメジャーで左を苦にする左打者はいませんよ。右左関係なく力で選ぶべきだと思います」という。
里崎氏は、先発ローテーをこう予想する。
開幕戦となる3月9日の中国戦は山本、10日の第2戦の韓国はダルビッシュ、11日の第3戦のチェコが佐々木、12日の第4戦の豪州が今永、そして16日の準々決勝が山本、米国に渡っての20日の準決勝がダルビッシュ、21日の決勝が、今永、山本らを総動員するという見立てをしているが、「問題は大谷をどう起用するかだ」という。
「大谷の起用法は、エンゼルスの意向を確認する必要があり、まだ決められないのでしょう。米国に行ってから抑えで起用するのか、それとも決勝戦だけ先発で使うのか。もし2試合に先発で投げることができるのであれば、グループリーグの1試合と決勝戦で投げられるように配置したいですね」
大谷だけではなくメジャーリーガーがいつチームに合流できるのか、という問題もまだ不透明。現時点でメジャーリーガーが出場可能となっている強化試合は、開幕直前の3月6日の阪神戦、7日のオリックス戦だけ。そうなると、そこまでの強化試合で満足に外野を組めなくなる。ただ里崎氏は「連携の確認よりも重要なのは各自のコンディション。いつ合流できるかは関係ないでしょう」という意見。3月9日の開幕へ向けて侍ジャパンは2月17日から宮崎で合宿をスタートさせる。
(文責・RONSPO編集部)