なぜ香川真司の12年ぶりJリーグ復帰が濃厚となったのか…揃った古巣セレッソへの復帰条件
ベルギー1部シントトロイデンに所属する元日本代表MF香川真司(33)がチームを退団し、Jリーグへ復帰すると同国の地元紙『HBvL』が28日に報じた。香川は昨年1月にシントトロイデンへ加入。今シーズンは12試合に出場して2ゴールをあげたが、古傷である左足首の手術に踏み切った影響で昨年11月以降は試合に出場していなかった。これまでも幾度となくオファーを出し復帰条件の揃った古巣セレッソ大阪が新天地となりそうだ。
ベルギー地元紙が断定的に報道
これまでに何度も復帰が報じられ、その度に「やり残したことがある」とヨーロッパでの挑戦を優先させてきた香川が、ついにJリーグでプレーする意思を固めた。ベルギーの地元紙『HBvL』が、次のような見出しで香川の去就を報じた。
「香川真司が1年でSTVVを退団し、Jリーグへ復帰する」
実質的な構想外となっていたギリシャ1部PAOKとの契約を、双方合意のもとで2021年12月に解除。フリーとなっていた香川は昨年1月にシントトロイデンへ加入した。しかし、ベルギー行きを決断するまでに心が揺れ動いたと明かしたことがある。
「僕自身も正直、考えるところがありました」
考えるところとは、イコール、日本への復帰となる。
当時はDF酒井宏樹、FW大迫勇也、MF乾貴士、そしてDF長友佑都と日本代表の盟友たちが続々とJリーグへ復帰していた。セレッソからドイツ1部のボルシア・ドルトムントへ移籍したのが2010年7月。次は自分が、と考えるのは自然の流れだった。
逡巡している時期に届いたのが、シントトロイデンからの熱いオファーだった。香川の心を震わせた「新しい香川真司を作っていこう」に込めた思いを、シントトロイデンのCEOを務める立石敬之氏は次のように説明したことがある。
「どのクラブも彼を獲得する際に昔のイメージを持っていたと思います。彼の全盛期のパフォーマンスはそれほど大きな衝撃をヨーロッパへ与えましたが、我々としては彼が攻撃のタスクを担い、ボールをたくさん触りながらゲームを落ち着かせ、コントロールしてもらうプレーがチーム強化に繋がる、という話をさせていただきました」
ボランチを含めた新たな挑戦を香川もポジティブに受け止めた。ドルトムントから出場機会を求めて移ったトルコのベシクタシュ、さらにスペイン2部のサラゴサ、そしてPAOKと立石CEOの言う「昔のイメージ」を求められた。いま現在の自分とのギャップに苦しんできただけに、ヨーロッパで6カ国目、延べ7チーム目でのプレーを決断した。
シントトロイデンへの加入会見で香川はこう語っている。
「非常に魅力的で、自分を大きく成長させてくれると感じた。僕自身、もっと進化したいと思っていたし、新たな自分を築けていけるんじゃないかと」
しかし、昨シーズンはわずか6試合の出場に終わった。PAOKでほとんど試合に出場していなかった影響で、ゲーム体力が著しく低下していたのが響いた。
入念な準備を積み、満を持して臨んだ今シーズン。7月23日のユニオン・サンジロワーズとの開幕戦で先発を果たすなどコンスタントに出場機会を得た香川は、8月27日のメヘレンとの第6節でPKを成功させ、移籍後初ゴールをマークした。
しかし、9月以降は次第に出場機会が減少。後半38分から途中出場した、10月29日のウェステルロー戦を最後にピッチには立っていない。11月2日にはシントトロイデン側から、慢性的な痛みを抱えていた左足首の手術を受けると発表された。