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大阪女子マラソンで日本人トップとなる3位でゴールした安藤友香だが自己ベストの更新ならず笑顔はなかった(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
大阪女子マラソンで日本人トップとなる3位でゴールした安藤友香だが自己ベストの更新ならず笑顔はなかった(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

なぜ大阪女子マラ日本人トップで3位の安藤友香に笑顔がなかったのか…届かぬ“世界との距離”に瀬古利彦リーダーも落胆「(勝負に)いく力がなかったのか」

 大阪国際女子マラソンは29日、大阪市のヤンマーフィールド長居を発着点とする42.195キロの新コースで行われ、安藤友香(28、ワコール)が2時間22分59秒で日本勢では最高の3位に入った。ヘヴン・ハイル・デッセ(24、エチオピア)が大会新記録となる2時間21分13秒で初優勝。安藤とともに自己ベスト更新が期待された佐藤早也伽(28、積水化学)は序盤で転倒し、途中棄権した。すでに安藤、佐藤はパリ五輪代表を決める10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権を得ているが、期待された2時間20分29秒の国内最高記録にも届かず、世界と勝負する上では課題の残るレースとなった。

 30キロ地点でエチオピア勢についていけず脱落

 笑顔なきゴールだった。
自身初のマラソン優勝と2時間21分36秒の自己ベスト更新を狙った安藤は勝負手を放つことなく、またも壁にはね返された。日本勢としては最高の3位と地力を証明したとはいえ、6年前の初マラソンで出した記録から1分20秒以上も遅い2時間22分59秒と平凡なタイム。ゴール後は自身へのもどかしさもあったのだろう。悔しさを押し殺し、唇をかみしめた。
「思い切って行こうと思ったんですが、30キロ過ぎからついていけなかった。死に物狂いで行かなきゃいけないのに、できなかったのは自分の弱さ。前半は気持ちよく走れ、2時間19分台も狙えるペースだったが、自己ベストも更新できずに悔しい気持ちです。収穫もありましたが、課題も見つかった」
 すでに10月に東京で行われる2024年パリ五輪代表選考会のMGCの出場権を手にしており、失うものはなかったはずだ。今回は、マラソン初優勝に自己記録更新で花を添え、一気にパリのヒロインへというのが理想のシナリオ。お膳立ては整っていた。

 コースが12年ぶりに記録が出やすい設定に変更されていた。ターン時の減速やフォームへの負担を防ぐために折り返しポイントをなくし、さらに中間点過ぎから1キロの下り坂が続くコース。これは後半に向けてスムーズにスピードアップが図れるようにするためだった。
 さらに、外国人のペースメーカーを復活させ、2時間20分39秒ゴールに設定。女子のトップランナーを揃えるエチオピア、ケニアから自己ベストが2時間20分台の3人を招待した。そんな背景からアテネ五輪金メダリストの野口みずきさんが持つ2時間19分12秒の日本記録更新を期待する声が多く、しかも、2週前の米ヒューストンでは新谷仁美(34、積水化学)が2時間19分24秒の日本歴代2位の好タイムで優勝。日本陸連の高岡寿成シニアディレクターも「機運は高まっていた」という。
 安藤は1万メートル、5000メートルで自己ベストを更新。今大会へ向けても「トラックでスピードを磨き、自己ベストを更新できたのはマラソンの高速化の中で自信になりました。やるべきことはやったので自分を信じて走りたい」と意気込んでいた。

 

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