井上尚弥がフルトン戦の交渉を認め「2人が戦えば面白い試合になる。何が何でも勝つ」と発言した理由とは?
フルトンがフィゲロア戦を蹴ってまで初の海外遠征試合を受けたことについて井上は「米国でやるよりファイトマネーがあるとかのメリットがあるから交渉に乗ってきている。互いにウインウイン」と語った。
フルトンは2年前のフィゲロア戦で100万ドル(約1億3000万円)を手にしているが、これが過去最高のファイトマネー。予定されていた再戦のファイトマネーには、さらに色がついていたらしいが、スーパーバンタム級に留まり井上戦に鞍替えしたのは、それ以上のオファーがあったからだろう。
それを可能にしたのが、井上、前WBA世界ミドル級王者の村田諒太(36、帝拳)が切り拓いた、地上波からアマゾンプライムビデオなどのペイパービューやサブスクなどの映像ライブ配信に切り替わったというビジネス環境にある。
井上の前WBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国)との4団体統一戦も、NTTドコモが提供する定額制の映像配信サービス「dTV」でライブ中継された。放映料は、地上波とは、桁違いに億単位で高騰。おまけにチケットが手に入らなくなるほどの観客動員を記録するようにもなった。
「地上波から配信サービスに変わりつつある。だからこそ(米国スターのフルトンを)呼べるのかなと思う。地上波でやらなくなったことで多くの方の目に触れにくいところもあるが、こういうビッグマッチが日本で組めるようにもなった。米国で、この試合をやるとプロモーター問題が発生する」と井上が説明した。
フルトンはPBCの契約選手で井上はトップランクと提携しており、それぞれが、米国で契約している中継局が違うため、米国でのマッチメイクとなると、さらに難しかっただろう。ビジネス環境の変化で日本での開催が可能になったからこそ実現したビッグカードなのだ。
さらに今春にIBFの指名試合を控えているアフマダリエフ陣営マッチルームのエディー・ハーン氏からは、「我々は井上と戦う準備ができている」とのラブコールが届いた。
「まずは1勝を勝ち取ること」と井上は言うが、フルトンに勝てば年内に世界初となる2階級4団体制覇を成し遂げる可能性が出てきたのだ。
「スーパーバンタム級で敵なしの体を本当に作り上げるにはバンタム級と同じ時間(4年8か月)がかかると思う。仮に今年、そういう形(4団体統一)になったとしても階級を上げることは考えていない。スーパーバンタム級で戦い続ける。体重を落とせるならモチベーションが上がらなくてもやる」
井上に浮ついた気持ちは一切ない。
「これからトレーニングして(不安を)自信に変えていく」
すでに海外から世界トップクラスのスパーリングパートナーを呼ぶことが決まっている。
(取材協力・WOWOW/井上、真吾トレーナーがバトラー戦を振り返る番組は2月13日午後9時からWOWOWライブで放送され、WOWOWオンデマンドでも配信される)