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阪神の岡田監督と今岡打撃コーチは“キーマン”佐藤輝明の打撃練習を入念にチェック(写真・黒田史夫)
阪神の岡田監督と今岡打撃コーチは“キーマン”佐藤輝明の打撃練習を入念にチェック(写真・黒田史夫)

虎のサトテルは今季ブレイクできるのか…“アレ”狙う阪神の岡田監督がキーマンの佐藤輝明に“脱・柳田打法”のススメ

 気になる点は、もうひとつあった。
 フリー打撃の時間は、全選手同じに設定されているが、岡田監督が「4番」を公言している大山は、100本を超える打球を放ったが、一方の佐藤は70本に届かなかった。
 フリー打撃前のティー打撃にしてもそう。とにかく“休憩”が多すぎるのだ。「背中に目がある」と言われるほど、グランド全体に目配りしている岡田監督は、秋季キャンプから佐藤の“休憩”の多さが気になっていた。
「(選手の中で)一番休むのが多いのは、しんどいからよ。(ヒッティングポイントを体に近くにしてボールに)差されて打つのは、しんどいからな。自分の(本来一番パワーが乗る)ポイントじゃないから弾き返そうとして力がいるやん。あいつは力があるから(差された分を)補えている」
 つまりボールを体に近いポイントまで引き付けて、全力のフルスイングパワーで打とうとするから、打撃練習の1球、1球に必要以上の労力を伴い、“休憩”が多くなるというのが、指揮官の分析。
「簡単に言えば、しんどくないように打てばええんよ。素振りはしんどないやんか。その一番楽なところに当たったらええ。簡単なことやんか」
 “脱”柳田打法のススメである。
 佐藤は1年目の後半戦に大失速。昨季も5月まで12本のペースで打ったが、6月以降は月間2本のペースに落ちて、3、4月に.284あった打率が8月には.228まで落ち込んだ。
 ルーキーイヤーに比べて打率は.238から.264に増え、打点も64から84にアップ。リーグワーストだった三振数も173から137に減った。しかし、彼に期待される本塁打は、24本から20本と後退。岡田監督は、「1年を戦いきる体力がないんよ」と、基礎体力不足を問題視していた。
 仁川学院高、近大と、アマ時代に、とことん鍛えられたバックボーンがないことも理由のひとつだろうが、岡田監督が指摘する“しんどい打法”も、佐藤の後半失速の原因かもしれない。
 今季岡田監督は佐藤を三塁に固定する方針。外内野兼任だった昨季のような守備の負担は減り、打撃に集中する環境は整うが、肝心のスキルが修正できなければ“シン”サトテルへの変貌を遂げることができない。昨秋キャンプでは、佐藤が侍ジャパンに招集されたこともあり、時間が限られて岡田監督は本格的な改造に着手することができなかった。
 開幕までの2か月で、どこまでサトテルが変わることができるのか。
 先発、ブルペンと投手陣が揃っているチームの課題は、昨年チーム打率も得点も5位に終わった打線のレベルアップにある。そのためにはクリーンナップを予定してる佐藤が一皮剥けることが必須条件なのだ。

 前回監督に就任した2004年のキャンプイン初日は、沖縄の宜野座は雨にたたられた。当時はまだ立派な室内練習場もなく体育館でアップを始めた。15年ぶりに監督復帰した2023年のキャンプイン初日は青空が広がった。
「球団愛はないよ。人がちょくちょく変わるんやから。笑。でも阪神という名前には愛がある。OBとして勝てていないことに、歯がゆさがあった。このチームでなんで勝てへんのやと。ユニホームを着た以上、勝たんとあかんということよ。(キャンプで)完成したチームにはならんよ。80点。(自分の)背番号(80)しか言えへんよ。(阪神、オリックス監督の)8年間80点と(キャンプ総括の自己採点で毎年)言うたな。シーズンに向けて、それが85になって90近くになって…でも100に持っていくことはないしできない。相手があること。完成に近いチームに1か月で持っていければいい」
 岡田阪神が“アレ”に向かってスタートを切った。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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