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W杯カタール大会でドイツ、スペインを破って世界を驚かせた日本代表だが3月の対戦マッチメイクに苦戦している(写真・ロイター/アフロ)
W杯カタール大会でドイツ、スペインを破って世界を驚かせた日本代表だが3月の対戦マッチメイクに苦戦している(写真・ロイター/アフロ)

なぜW杯でドイツ、スペインを破り世界を驚かせた森保ジャパンの3月再出発の初陣チームが決まらないのか?

 ヨーロッパではすべてのナショナルチームが参加する、UEFAネーションズリーグが2018年9月に創設された。すでに2大会を終え、さらにW杯及びユーロの予選も行われてきたなかで、他大陸との国際親善試合がほとんど組めない状況が続いている。森保ジャパンでもヨーロッパ勢との対戦は、2021年6月のセルビア代表だけとなっている。
 北中米カリブ海は昨年6月に開幕した、ネーションズリーグ2022-23の最終節が組まれている。2026年の次回W杯を共同開催するアメリカ、カナダ、メキシコだけでなく、カタール大会で日本が苦杯をなめたコスタリカも含めてマッチメークは不可能の状況だった。
 アフリカは来年1月から2月にかけてコートジボワールで開催予定のビッグイベント、アフリカネーションズカップ予選が組まれている。ただ、強豪国ではカタール大会でベスト4に進出し、旋風を巻き起こしたモロッコ代表のスケジュールが現時点で空いている。
 こうした状況を踏まえれば、いかにカタール大会で世界へ与えた衝撃を介して国際的な評価を高めたといっても、マッチメークの交渉を始める前から日本の選択肢が大きく限られていたのがわかる。大陸では南米とアジア、オセアニアとなり、そこへアフリカのモロッコが加わる。反町技術委員長は強豪国という条件のなかでも、さらに具体的な希望をあげた。
「なるべく日本よりFIFAランキングが上で、できればW杯を経験している常連国、というのがわれわれにとってもありがたいと考えています」
 最新のFIFAランキングを見れば、20位の日本よりも上で、さらにヨーロッパや北中米カリブ海、アフリカ勢以外の国はわずか5つに限定される。1位のブラジル、2位のアルゼンチン、11位のモロッコ、そして16位のウルグアイと17位のコロンビアだ。
 ブラジルとは昨年6月にも国立競技場で対戦したが、マッチメーク料として日本円で3億円が生じたとされる。コロナ禍の2021年度決算で約17億5000万円の赤字を計上。今年度予算も約192億円の収入に対して238億円の支出を設定しているJFAとしては、2年続けてブラジルと日本国内でマッチメークする選択肢はもともとなかったと言っていい。
 カタール大会を制し、36年ぶり3度目の頂点に立ったアルゼンチンにも同じ状況が当てはまる。代表引退を表明していたスーパースター、リオネル・メッシ(35、パリ・サンジェルマン)が「世界チャンピオンとして、何試合かはプレーしていきたい」と前言を翻した件との相乗効果で、マッチメーク料はおそらくブラジル級にはね上がっているはずだ。
 国際Aマッチに関しては、同一期間内に同じ大陸内で戦わなければならない。この規定のもとで、極東に位置する日本に強豪国を招へいする難しさにも常に直面してきた。

 

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