なぜW杯でドイツ、スペインを破り世界を驚かせた森保ジャパンの3月再出発の初陣チームが決まらないのか?
たとえば昨年のブラジルは、来日する4日前の6月2日にソウルで韓国代表と対戦している。前出したウルグアイとコロンビアの両ジャーナリストは同じ図式で、3月シリーズにおいてともにアウェイで日本及び韓国との国際親善試合に臨むとツイートしている。
日韓両国との連戦は、国際Aマッチの規定をクリアするだけではない。ともにカタール大会でベスト16に進出した両国の現在地を考えれば、極東までの長い行程をチームの強化で相殺できる。ある意味で信憑性が高い情報と言ってもいいかもしれない。
日本は昨年9月、JFAがヨーロッパオフィスを置くドイツ・デュッセルドルフで、ともにカタール大会に出場するアメリカ、エクアドル両代表との国際親善試合に臨んだ。ヨーロッパ組がチームの大半を占めるなかで、今回も同じ形を採用すべきだという声も少なくない。自ら出向いていった方がマッチメークもしやすくなる、という考え方も働いている。
しかし、JFAが陥っている財政難には、入場料収入を含めたA代表戦に関する収入がコロナ禍で激減した状況も大きく反映されている。収入が年代別代表の強化やサッカーの普及の原資になる図式を考えれば、日本中を熱狂させ、老若男女に感動を与えたカタール大会を経た新たな船出となる3月シリーズを、日本国内で開催するのは必然的な流れだった。
W杯の熱量を未来へ繋げていく意味で、試合会場も東西の大都市、東京の国立競技場と大阪のヨドコウ桜スタジアムを選定。さらに前者の一戦は、当初発表の3月23日からあえて後ろ倒しさせた。反町技術委員長は「日本代表だけでなく相手チームもできるだけいいコンディションで、高いパフォーマンスを発揮して戦ってほしい」と理由を説明。さらにこう続けた。
「相手が決まり次第、みなさんにも早くお伝えしたい。われわれとしても早く相手を決めて、分析を含めた準備をしていく作業がどうしても必要になってくるので」
豊田スタジアムとパナソニックスタジアム吹田で2試合を予定している6月シリーズも、ヨーロッパを取り巻く状況は変わらない。メキシコなど北中米カリブ海の強豪国もネーションズリーグで勝ち残れば、6月は準決勝、決勝のファイナルラウンドに臨む。
日本に限らず、世界中で国際親善試合のマッチメークが困難を極めている状況で、まずは第2次森保ジャパンの初陣となる3月シリーズの交渉に全力を尽くす。
(文責・藤江直人/スポーツライター)