「精神的な疲れ」と「不安」…15歳ドルーリー朱瑛里を出場辞退にまで追い詰めた”悪者”の正体…日本陸上界の宝を異常なマスコミ攻勢や一部ファンの“暴走”からどう守ればいいのか
東京五輪1万m代表で先のヒューストンマラソンで日本歴代2位となる好タイムを叩き出した同じく岡山出身の新谷仁美(34、積水化学)は、ツイッターに「心も体もまだ未熟だからこそ彼女の周囲にいる方々は過剰に反応しないで、彼女の本心をしっかり理解して急足にならず成長を見守る体制をとってほしい。成長過程の期間だからこそ大事にしてほしい。極端な話、世間や競技の反応よりも本人の心を一番に優先してください」(原文ママ)と投稿。周囲のサポート体制の重要さを訴えた。
この新谷のツイッターには、「最初の19分はとくに聞いて欲しい」と東洋大時代に箱根駅伝で「山の神」として一躍時の人となった柏原竜二氏(33、富士通)が、文化放送の陸上『雑談』専門チャンネル「Track Town JPN」で、今回のドルーリーの問題について語った音声が引用されている。
柏原氏も、ドルーリーと同じく、箱根駅伝での激走後に、突如としてマスコミの注目を浴びることになり、「鼻をほじって歩けない」ほどの騒ぎになった。SNSの掲示板では、「柏原がどこにいた」と書かれるなど、まったくプライバシーがなくなってしまった自らの体験を明かした上で「SNSですぐ発信できる世の中になり、いいことだけでなく誹謗中傷も必ず本人に届いていく。まだ中学生。傷つき方も大きくなる。周りにアドバイスする人が必要」と指摘。
相談する相手として新谷や東京五輪の1500、5000m代表の田中希実(23、豊田自動織機)らの名前をあげた。
また「(マスコミ攻勢からの)ブロッカーが必要で、それこそ取材は年に一度、3か月に一度、陸上専門誌だけの取材を受けるとかしないと、自分がわからなくなってしまう」と提言した。
柏原氏の場合、関東学連が出演打診があったタレントの明石家さんまさんのテレビ番組の企画を断るなど壁となり、東洋大の酒井監督が柏原氏自身が取材を希望した場合でも、しっかりとした理由を説明することができなければ受けさせないなど、マスコミに対する“ブロッカー”になっていたという。
今回は弁護士が間に入ったが、マネジメント会社に守られるプロではなく、まだ未成年のアマチュアアスリートだけに保護者である両親、あるいは、今後、進学予定先の高校などが、マスコミ対策を練る必要はあるだろう。日本女子長距離界の未来を担う逸材だけに日本陸連もなんらかのサポートをしなければならない。
ドルーリーは声明文を「琵琶湖クロカンの関係者の皆さまには、色々とご協力をお願いしていたにもかかわらず、急に出場を取りやめる形を取ってしまった事申し訳なく思っています。応援を予定してくださっていた方々にも、申し訳なく思っています。また、次のレースで活躍できるように頑張りますので、その時には影でそっと応援をしていただけたら嬉しいです。ありがとうございました」という言葉で結んでいる。
(文責・RONSPO編集部)