なぜ三笘薫はヘッドで決勝ゴールを決めた後に英語で「自分自身に驚いている」と語ったのか…3戦連発で2連続決勝得点の”無双状態”
1月29日のリバプールとのFAカップ4回戦の後半アディショナルタイムに決めた、劇的な決勝弾に続く殊勲の先制&決勝ゴール。空中ダブルタッチによる“神業”をさく裂させた6日前とは対照的な、勝利への執念をほとばしらせた泥臭い一撃に雄叫びをあげながら、感情を爆発させた三笘はインタビューで一変。冷静沈着に終わったばかりの一戦を振り返っている。
「僕たちのパフォーマンスはよくなかった。テクニック面でも戦術面でも多くのミスを犯してしまったけど、最も重要なのは勝ち点3ポイントを獲得すること。この結果には満足しているし、幸せな気持ちですけど、僕たちはもっと進化しなければいけない。そして、僕たちならできる」
述懐通りに、試合前の時点で降格圏の19位に低迷していたボーンマスに苦しめられた。
リーグワーストの42失点を喫し、20チームのなかで唯一、アウェイでクリーンシートを達成してないボーンマスは1月に大型補強を敢行。ガーナ代表FWアントワーヌ・セメンヨ、コートジボワール代表ハメド・ジュニオール・トラオレ、ブルキナファソ代表FWダンゴ・ワッタラの新戦力トリオが、ブライトンボール時に前線から強烈なプレッシャーをかけてきた。
デ・ゼルビ監督はエクアドル代表の左サイドバック、ペルビス・エストゥピニャンをこれまでよりも低い位置でプレーさせ、ボーンマスがかけてくるプレッシャーに対抗させた。
左サイドで好連携を築きつつあった、エストゥピニャンの援護が得られにくい状況下で前半の三笘は孤立する。パスを受けるにしても、下がりながらもらうケースが多かった。しかも、ボーンマスの右サイドバック、アダム・スミスがすかさず間合いを詰めてくる。リスクを冒す位置と時間帯ではないと判断した三笘は、そのままパスをリターンする選択を下す場面が目立った。
ボーンマスは後半に入ると自陣でブロックを形成し、カウンターを仕掛ける戦法も繰り出してきた。敵地で引き分け狙いに徹しながら、あわよくばゴールを、という戦い方を徹底されるなかで、対面を固められた三笘は我慢とフラストレーションを募らせる展開とも戦った。
それでも決して焦らず、自分に課された仕事に集中し続けた。
たとえば前半17分。左サイドからの折り返しにMFジェフェルソン・レルマがゴール正面に詰めてきた、ボーンマスの最初のチャンスでは必死にプレスバック。最後はスライディングタックルを仕掛け、焦ったレルマのシュートを枠外へ飛ばさせた。
次第にボールがわたるようになった前半35分には、ペナルティーエリア内の左側からドリブルを発動させる。目の前で切り替えされたスミスがその場にひざまずき、ファウル覚悟で慌てて三笘を止めようと両手でつかみにかかるも、逃してしまう場面も生み出した